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観光業を盛り上げようと腕まくりしていた矢先に……

 何より大変なのは、我が国の観光業が地方経済の大事な産業の一つにまでようやく成長したところで、コロナ禍の直撃で一気に駄目になってしまうという問題です。それこそ、2003年当時の首相・小泉純一郎さんの掛け声で観光立国を推進しようとし、観光庁もビジット・ジャパン・キャンペーンを実施。さらには2019年のラグビーワールドカップの成功で、「さあこれから2020年東京オリンピック・パラリンピックで多くの外国人観光客を呼び込もう」と腕まくりしていた矢先にコロナですから大変です。

 大都市圏では200万室以上も宿泊施設が足りないと叫ばれ、空き家の増えてきた国内ではリノベして民泊にする動きも急増。地方の観光地でもオリンピックで増える旅行者に1泊でも2泊でも多く来てもらおうと頑張ってきていたわけですよね。

観光地として絶大な人気を誇る京都も外国人観光客が99.9%減少 ©iStock.com

 それが、京都ですら外国人観光客が99.9%減少って、要するに1000分の1になっちゃったんですよ。見込み違いにも程があります。「Vやねん!」みたいな。また、国内旅行で言えば7割超が日本人による旅行だったわけですけど、こちらも「都道府県をまたいでの移動は控えましょう」「いや、旅行は構いません」「でも企業さんには7割は在宅ワークでお願いします」と、とっ散らかった指示ばかりが国や都道府県から降ってくるわけですから、国民からしても生活や健康の自衛のために「余計な移動は控えておこう」となるのも当然じゃないですか。混乱するしかありません。クーラーでガンガンに冷やした部屋でアツアツのうどんを喰うみたいな状態で大丈夫なのか、と。

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ヤバイのは観光だけではない

 そして、コロナ患者が徐々に増えてきて、医療現場でも軽症者から中等症の患者さんの入院がじわじわと増えてきました。一方で、感染症のクラスターになりかねない病院には患者さんが寄り付かず、地方の医療システムが崩壊しそうなほどな状態で経営を直撃し、Go To病院というぐらいの勢いでコロナ破綻しそうになっています。

 そういう状況なのに、東京都では軽症者を収容するホテルをかなり解約しちゃった痛恨のミスがあって、いま借り直ししているみたいですけど、小池百合子さんは何を考えているんでしょう。もう都知事選勝ったからどうでもいいとでも思ってるんでしょうか。

©iStock.com

 さらには、飲食、輸送、アパレルといった各種産業もコロナショックで大きく経営が圧迫され、いまや信用保証協会も空前の案件激増といわれています。カネを借りたくても審査待ちで2か月近くかかってしまう現状があります。さらには、東京都では22時までの営業に短縮するよう休業要請が出て、その代わりもらえるお金が20万円とかですよ。家賃にもならないんじゃないですかね、これ。

「観光業がヤバイ」と言っているうちに、本当に夏を越えられない企業の破綻が8月9月にどっさりとやってきて、地方経済の破綻が現実のものになりかねません。100万人単位で失業者が出るでしょうし、これから社会に出る高校生、大学生なども就職氷河期に直面してまたロストジェネレーションになってしまうかもしれない。また、今年はジューンブライドが減って婚姻数も伸びず、生まれる子どもの数も増えないぞとなれば少子化一直線であることは間違いありません。大変なことですよ、これは。