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 人事異動まで辛抱しようという考え方もありますが、たとえ異動まであと1年だとしても、私たちの平均寿命はほぼ90年。1年はその約1%に当たります。1%といえども、あなたの「命の一部」です。そう考えると1%は大きいと思います。その時間を不当に奪われる、いわばその間、殺され続けているようなものです。

 ただ、あなたはきっと志を抱いて勉強し、倍率の高い試験に合格して公務員になったのでしょう。将来、どうしてもその職場でやりたいことがあるのかもしれません。だから、これがサンクコストだったとしても、何とかしたいと思うのですよね。

 お気づきのとおり、課長は相手を選んでキレています。あなたが鼻ピアスをしているギャルだったら課長は怖がって怒鳴りはしないのではないでしょうか。あなたは恐らく清楚で真面目で、そういうタイプは何を言ってもやり返してこないだろうとナメられている。だからといって、鼻ピアスをする必要はありませんが、私を怒鳴ったらこんな目に遭いますよ、と示してあげることも重要なコミュニケーションの一つです。

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 まともに正論で言い返すのではなく、「課長、鼻毛が出てますよ」とか「チャック開いてますよ」とか。可能ならば「今日も相変わらずどうでもいいことでキレてるんですか? いい歳してちょっとウザいですよ」とうんざりした顔を見せてみる。ここは誠実に伝えてあげる。さらにできそうなら、職場の多くの人が課長を疎んじていることも、それとなく悟らせてあげましょう。

 心理的に「お、こいつには何だか言いにくいぞ」と思わせることもやさしさです。それでイジメがひどくなってしまったら? もちろん、その時は逃げればいいんです。

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text:Atsuko Komine

週刊文春WOMAN vol.2 (2019GW号)

 

文藝春秋

2019年4月26日 発売