「私はこの言葉だけをお守りにして、仕事を一生がんばれる」と思った
正直仕事のことを聞かれて、「性別による不平等があって、それを解決したい」ということを伝えるのは、実は結構、いやものすごくドキドキした。
目に見えにくいものだし、それこそ“高齢”の“男性”の目にはうつっていないものかもしれなかったから。大好きなおじいちゃんから「そんな不平等など、日本には無い」と一蹴されたらどうしようか、と思った。私から見えているものと祖父から見えているものは確かに違うし、見え方も自分ごと化できる範囲も違う。なんせ、歳も60は離れている。持っている眼鏡も引き出しも違う。生きてきた時代も違う。それに「性別による不平等」という話題においては、祖父は明らかに「強者」であり、不平等を自覚しない側であるはずだから。私の言葉が、彼が持たないはずの見えない下駄を指摘してしまったらどうしよう、と思った。
しかし返ってきた言葉は予想とは違った。
実に、実に客観的な人だな、と思った。まさに自分がこうありたいと思うロールモデルがこんなに近くにいたとは思わなかった。それと同時に、正直伝えるのがこわいと思っていた仕事の内容を「世の中に必要だ」と肯定してくれた。なんかもう、本気で、「私はこの言葉だけをお守りにして、仕事を一生がんばれる」と思った。本当はその場でちょっと泣いた。ばれないように。
それからというもの、祖父は自分の持つ本棚や膨大な資料棚のなかから、私が興味を持ちそうな話題のものを引っ張ってきては「きみが専門にしている分野だろう?これもジェンダーの話さ」と書物を広げてくれる。この歳になって、祖父と新しい話題を持つことができた。少しでも長く、彼とこんな時間を共有できたら幸せだなと、感じている。
◆
パレットークでは、「こうあるべき」を、超えてゆく。をテーマに、LGBTQ+、フェミニズム、多様性について、漫画やインタビューを通して発信している。
職場での「ダイバーシティ」のお悩みはありませんか?
パレットークが提供する「ダイバーシティセミナー」の詳細はこちらから:
https://tiewa.co.jp/seminar