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『愛していると言ってくれ』で訴えた「同情じゃない! 私は、あなたが好きだから!」

 例えば常盤貴子演じる紘子と、豊川悦司演じる聴覚障害を持つ画家・晃次との純愛を描いた『愛していると言ってくれ』では、3話ラストでこんなシーンがある。

 晃次とコミュニケーションを取りたいと考え、一から必死に手話を覚えた紘子。街中や電車の中でも紘子は屈託のない笑顔を見せながら、手話を使い晃次との会話を楽しんでいた。だが晃次は、手話で会話する様子を周囲の人々がもの珍しそうに見ている視線に気づいており、電車を降りた後、手話を続ける紘子の手を制止するのだ。

豊川悦司 ©AFLO

 晃次は手話で「君まで、耳が聞こえないと思われる」、「気にしないのは、君は本当は耳が聞こえるからだよ」と伝えてしまう。そんな晃次の思いを知り、紘子は怒気さえも帯びた表情で毅然とこう訴え返すのである。

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「そんなに……そんなに違うの!? 聞こえるのと、聞こえないのと、私とあなたと、そんなに違うの!? だったら私は、もっとあなたをわかりたい、知りたい!」

 さらに晃次が「ぼくは君の好奇心やセンチメンタルの道具じゃない。ぼくの火傷の跡も、君には関係ない」と伝えると、

「そういう意味じゃない……好奇心じゃない……同情じゃない!  私は、あなたが好きだから! 好きだから!」

 と、紘子は晃次への想いを吐露。晃次は紘子が純粋な気持ちで好意を持ってくれていることに胸打たれ、涙する紘子を抱擁。抱きしめ合う紘子と晃次……紘子の健気さと芯の強さが晃次の心を動かし、気持ちを通じ合わせたのである。