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『ビューティフルライフ』で「唯一引退を考えた」…女優人生「何をやっても常盤貴子」な理由

2020/08/11

『ビューティフルライフ』の「柊二。私の人生のスペシャル」

 一方、木村拓哉演じる売れっ子美容師・柊二と、常盤貴子演じる杏子が亡くなるまでの愛の日々を描いた『ビューティフルライフ』の最終話では、“明るく健気で強い”演技の真骨頂を見せていた。

 杏子の部屋でしんみり語り合う杏子と柊二。自身の死期が近いことを悟っている杏子は微笑みながら、病気になってから、常に死を意識するとともに日常のかけがえのなさを感じていたと気丈に告げる。

「きれいな景色だったりとか、気持ちいい風だったりとか、両親がクリスマスに買ってきてくれたクリスマスケーキのね、ろうそくの灯がきれいに揺れるのとか。でもさすが神様。最後にすごく素敵なことあった」

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『ビューティフルライフ』(Paraviより)

 柊二が「なに?」と問うと、「柊二。私の人生のスペシャル」と満面の笑みを柊二に向けるのだった。

 そして、最終話後半でいよいよ杏子が亡くなる瞬間。病院に運ばれる救急車の車内で、弱々しくも晴れ晴れとした笑顔で柊二に「いろいろ……ごめんね……ありがとう」と伝え、息を引き取るのだった。最期まで“明るく健気で強い”演技で視聴者の涙腺を崩壊させたのである。

マンネリを通り越した安定感と安心感

「何をやっても○○」という演技を長年貫き通すと、マンネリを通り越して視聴者に安定感と安心感を与え、どんな役柄の作品でもハイレベルで成立させられるパワーを持つようになると思う。

 余談だが、篠原涼子、米倉涼子、天海祐希などの同世代主演級女優たちの役というと、“強い女”のイメージがまず浮かぶ。彼女たちに “明るさ”はあるが、“健気さ”というファクターはかなり薄い。そのため“明るく健気で強い女”をバランスよく演じられるところに常盤貴子のオリジナリティがある。

 コロナ禍で『愛していると言ってくれ』の再放送を契機に、初めて常盤貴子の魅力を知った人も多かっただろう。インスタの新たな使い手として、“素の常盤貴子”にもますます注目が集まっていくはずだ。

『ビューティフルライフ』で「唯一引退を考えた」…女優人生「何をやっても常盤貴子」な理由

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