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「日本は平和条約に同意すべきです」

ガルージン 今、日ロ両国が何を交渉の指針にしているかというと、2018年11月にプーチン大統領と安倍総理の間で結ばれた「シンガポール合意」です。この合意では、1956年の日ソ共同宣言を基礎にして平和条約交渉を加速させることを確認しました。日ソ共同宣言文には、まず平和条約が結ばれるべきだと書いてあります。それ以外の問題が片付けられるのは、平和条約締結後です。ですからロシアは、まず平和条約を作らなければならないと主張しています。日本はそれに同意すべきです。

池上 ということは、今回の憲法改正で、北方領土返還が禁止されたわけではないのですね。

池上彰氏 ©文藝春秋

ガルージン 申し上げたことの1つ目は、ロシアの修正憲法は領土割譲を許さないということ。2つ目は、ロシア側として、日本と交渉しているのは島々の問題ではなく、平和条約だということです。

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 ガルージン大使が指摘したシンガポール合意で、日本側は二島返還プラスアルファという譲歩案に舵を切った。だが、翌2019年の日ロ首脳会談、日ロ外相会談を経ても大きな進展は見られない。ロシアの真意はどこにあるのか。北方領土を返す気は本当にあるのだろうか。

 ガルージン大使が池上氏に2時間にわたって語ったインタビューの全文「『独ソ戦75周年』と『北方領土交渉』」は、「文藝春秋」9月号及び「文藝春秋 電子版」に掲載されている。「終戦の日」を迎えた日本人にとって、第二次世界大戦とは何だったのか、ソ連による満洲侵攻はロシア側からどう見えるのか……75年前に終結した世界大戦の大きな影響を知るうえで格好の読み物となるはずだ。

出典:「文藝春秋」9月号

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文藝春秋

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特別対談 「独ソ戦75周年」と「北方領土交渉」