コロナ禍で気づいたのは、より心地よい空間に住みたいという欲求。
整理され掃除がいきとどいた部屋、クリーンな空気、目に優しい照明……さらに花があれば、自然が息づく潤いある空間に。
花とともに暮らすハウツーをフラワーデザイナーの佐藤俊輔さんに教えていただきました。5回にわたって特集します。
» 「センス良くて長持ちさせる花の飾り方」篇
» 「フレッシュな花の買い方」篇
» 「いい花屋さんの見分け方」篇
いい花屋さんはグリーンが多い!?
花を迎え入れる準備と賢い花の買い方についてレクチャーさせていただきましたが、今回は「いい花屋さんの見分け方」を伝授します!
想像してみてください。駅前には2軒の花屋さんがあります。1軒は、昔から地域に愛されている花屋さん。もう1軒は、最近新しくできた全国チェーンの花屋さん。どちらの花屋さんで花を買ったほうがいいでしょうか?
答えは、簡単です。花以外の葉物や枝物などの植物、つまり「グリーンの多い花屋さん」を選んでください。
では、なぜグリーンの多い花屋さんがいいのでしょう?
花束やフラワーアレンジメントというと、花が主体のイメージがありますが、実は葉物や枝物を入れることが多く、葉物や枝物の使い方で、花束やフラワーアレンジメント自体の良し悪しが決まるといっても過言ではありません。
ですから、「グリーンの品揃えが豊富な花屋さんはいい花屋さん」となるわけです。
では、プロはどうしてグリーンにこだわるのか。それは花束やアレンジメントにグリーンを入れるメリットがたくさんあるからです。
主なメリットは、「ラインや質感の幅を広げる」「ボリュームを大きく見せる」「色の調和をはかれる」「花同士が傷つくのを防ぐ」「花持ちをよくする」の5つです。
ガーデニングでも活躍するアイビーなどのつる植物は垂れ下がるラインを演出してくれますし、モンステラやヤシ類など大きなグリーンは、大きなスタンド花などに使用すると、特徴的な形や大きさが際立つアレンジメントになります。
「色の調和をはかれる」というのは、例えば花屋さんで何も考えずに好きな花を選んでいたら、赤・青・ピンク・黄などの、さまざまな色がミックスされた花束になったとします。
みなさんならどうされますか?
おそらく、青の花を戻して赤、ピンク、黄で暖かい色合いにするか、青と黄の花を戻して赤、ピンクの同色系でコーディネートする人が多いのではないでしょうか?
もちろんそれも間違いではありませんが、視点を変えた解決策としてはグリーンを足すという方法があります。赤、青、ピンク、黄の間にグリーンの色味が入ることで色の調和がとれ、花束全体に統一感が生まれるのです。
このように通常では合わないはずの色同士をグリーンでまとめる手法は、花業界で「ミックスカラーアレンジメント」と呼ばれ、より複雑な色合わせを可能にする上級者向けのテクニックとして知られています。