文春オンライン

「バカじゃラップできないと伝わった」 Zeebraが語る『フリースタイルダンジョン』5年の“収穫”

Zeebraインタビュー #1

2020/08/19
note

『水曜日のダウンタウン』オープニングではPUNPEEを起用

――メディアで働く人の中に、ヒップホップが好きで、ある程度自分の裁量で仕事ができる世代が増えていったことで、さらにカルチャーが広まっている感覚はありますか?

Zeebra 藤田くんは僕の2つ下で1973年生まれなんだけど、今40代後半の世代は10~20代のときに渋カジとかサーフィン、スケートというストリートカルチャーを浴びて育った人が多いんだよね。当時は雑誌『Fine』がヒップホップカルチャーをかなり発信していて、そこからヒップホップを知った人も少なくなかったと思う。さらにその10歳下の子たちだと、『東京ストリートニュース!』(2002年に休刊)とか『egg』になるのかな。で、そういったストリートのカルチャーの中で自然とヒップホップに触れてきた子たちが今、会社の中で一定のポジションに就いているわけです。

 

 オープニングにPUNPEEを起用した『水曜日のダウンタウン』の藤井(健太郎)プロデューサーは、今年40歳なんだってね。その辺りの世代が最初の本気ヘッズ(※ヒップホップ好きのこと)世代で、我々が日本語ラップをバーッてやりはじめた90年代前半に、ライブの最前列で盛り上がってた人たちだと思うんです。『ダンジョン』でいうとそれが般若とかになるんだけども。

ADVERTISEMENT

90年代に今くらいシーンを成熟させておきたかった

 だから今はおかげさまでテレビ局に行っても、「中学のときから聞いてました」ってスタッフの人に声かけてもらえるようになって、既に周りがヒップホップを理解してくれている状態。そりゃあ断然、昔に比べて話は早いですよね。

 

 僕としては90年代に今くらいシーンを成熟させておきたかったんですけど、なかなかそうならなかったのは、テレビ局や会社の“上の人”の理解がなかったからだよね。これはもうヒップホップに限らずエンタメ全般に言えるんだろうけど。でもそうやって脈々と世代をまたいでヒップホップが伝播していくことを、実はずーーっと考えてた。というか極論、僕がラッパーになったのもそのためなんですよ。

写真=平松市聖/文藝春秋

「バカじゃラップできないと伝わった」 Zeebraが語る『フリースタイルダンジョン』5年の“収穫”

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー