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シャレでは済まない反応を引き出すことに

 もちろん、私らは田端信太郎さんの繰り出したネタである「炎上マーケティングを請け負ってました」発言も、構成員さんが反省の弁を素直に書けずにタコ麻雀のような「どういう手牌であったか」を説明したくなる心情もまた、すごくよく分かります。

 でもまあ、ネットには冗談の通じない人たちが一定の割合おり、面白ネタだと分かっていてもそのセンスを共有できない人からするとシャレでは済まない反応を引き出し、結果として炎上中に燃料投下となって、本来ならば2日かそこらで鎮火するところをねとらぼやガジェット通信に掲載されると止まらなくなるんですよ。

©iStock.com

「廃棄前提おじさん」「田端大学」等がTwitterトレンドに 田端信太郎さん「燃えないゴミは、ただのゴミだ。炎上できることは才能なんだ」
https://getnews.jp/archives/2677928

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 そして、問題は田端信太郎さんにとどまらず、このような事件の背景にある、有料オンラインサロンとは何ぞやという話になり、いまは沈静化しているはずのセクハラ問題を起こした箕輪厚介さんがやっていた「箕輪編集室」や、田端さんの元上司である堀江貴文さんのやっている「堀江貴文イノベーション大学校」、あるいは落合陽一さんの「落合陽一塾」やイケダハヤトさんの「イケハヤ大学」に加えて、もうすでに閉鎖されていて無関係のはずのはあちゅう(伊藤春香)さんの「はあちゅうサロン」まで取り沙汰されて、いわゆるネット有名人がやる情報商材的な有料オンラインサロンで信者を囲い込むサービスの是非にまで話が発展していくのです。

今年の夏はお祭りもできませんでしたからね

 もっとも私自身も地味にオンラインサロンをはじめて5年経過して、お陰様で満員御礼なので飛び火を避けるためにも言及せず静かにしておる次第ですが、これらのオンラインサロンをやっている人たちの共通点はネットではそこそこ著名で、決まった定職がないので自由にモノが言え、ユーザーから見て有益な情報を持っていそうだったり、人生のロールモデルになり得るという「何か」を持っていることが背景にあります。

 同じようなことは、YouTubeの視聴者数でもTwitter/Instagramのフォロワー数でも良いのですが各プラットフォームに自分のメディアを持ち、語れる内容次第で多くの会員を集めることができる。マコなり社長やキングコング西野亮廣さんのような人物が出る一方、メディアでそれなりに名前が知られた人でもオンラインサロンを始めようとして失敗に終わったり、YouTubeに進出してもまったくチャンネル登録者数を獲得できずにしめやかな最期を迎えることもあります。

尊敬する田端信太郎さんが運営するオンラインサロン田端大学の炎上について

 

 田端信太郎さんのいうセルフブランディングの妙味というのは良くも悪くもこの辺にあって、やはり自分の生き様や経験値をしっかりと興味持ってお金を払ってくれる皆さんに伝えていくという機能は大事だと思うんですよ。一方で、コミュニティというのはどうしても主宰者のカラーと言いますか、ある種の「本性」のようなものが見えるときがありまして、今回の田端信太郎さんのケースでは、田端さんらしい面白がり、悪ノリも出つつも、構成員さんがやらかしたときに主宰者である田端さんが出てきて事態収拾に向かうかと思いきや一緒になってクソ寒いネタをやって本人ともども大炎上し、ドクロ型の煙が上がるのもまたひと夏のお盆の思い出というやつでしょうか。

 何しろ、今年の夏はお祭りもできませんでしたからね。

 タイミングを見て、万座温泉には足を向けてみたいと思います。

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