緊急事態宣言の発令により、各企業がリモートワーク対応に奔走するなか、宣言の発令前にすでに「本社出社率1.7%」まで低下していた日本マイクロソフト。その背景には「出社不要」の就業規則や、昨年夏には「週勤4日週休3日」制をトライするなど企業の生存をかけた働き方改革の実践があった。
全世界の職場データを収集し、そこから「成果が上がる働き方」を分析するマイクロソフト。業務改善士としてあらゆる職場の問題に向き合ってきた著者が、日本マイクロソフトの多くの社員に取材し、その成果を解剖した『職場の科学』のエッセンスを紹介する。
◆ ◆ ◆
生産性高く働くための選択肢を保証
日本マイクロソフトはコロナ禍で日本政府が緊急事態宣言を出す直前には、品川本社オフィスへの出社率はわずか1・7%。ほぼ完全な形でリモートワークを実現していました。コロナ禍の最中でもほとんど影響を受けずに、事業を継続しました。日本に2400名を超える従業員を擁し、創業から34年が経った大企業にもかかわらず、です。
2016年5月1日より、日本マイクロソフトではリモートワークに関する勤務制度を次の図のように改定しました。
上司・上長と合意をした範囲であれば、最大限に時間や場所にとらわれずにリモートワークを活用してOK。週に何日とか、何時間とか、そのような規定はなく、やり方についても部署でそれぞれルールを決めればいい。そのような制度です。
これだけ聞くと、非常に自由で、社員に優しい企業だと思うかもしれません。そのイメージも間違いではありませんが、日本マイクロソフトの改革担当者や人事部門の担当者たちは口を揃えて「リモートワークは福利厚生ではありません」と言います。目標設定や期待する役割はまったく変わらず、とにかく生産性高く働くための選択肢を保証している。ただそれだけなのだと強調します。
もちろん、これは社員全員に認められた制度ですが、リモートワークを使うかどうかマネジャーと本人が事前にディスカッションをして、認めるかどうかが決まります。部署が変わったり、マネジャーが変われば、そこでまたディスカッションをします。