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日本マイクロソフト、緊急事態宣言直前にすでに本社出社率が「1.7%」だった背景

幹部は「リモートワークは福利厚生ではありません」と断言する

2020/08/26
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出社するのが本当に生産性を向上させ、企業の価値を高めているか

 極端な話「リモートワークに切り替えたことで、あなたは十分なパフォーマンスが出せていないのでリモートワークは終了します」のような場合もあり得ます。

 出社によって生産性が上がるのならば出社する。リモートワークで生産性が上がるならリモートワーク。まさに「選択肢と多様性を保証する」そのものです。

 リモートワークが進んでいない企業ほど、ぜひこのシンプルな発想に立ち返ってみて欲しいと思います。出社するのが本当に生産性を向上させ、企業の価値を高めているなら、それでもいいと思います。しかし、もっと多様な働き方を提供した方がより生産性が上がり、いい人材が集まり、企業の価値を高めるとしたら、その方向に舵を切った方がいいでしょう。

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図 日本マイクロソフトにおけるフレキシブルワークスタイルの位置づけ

リモートワークの波に乗り遅れると「負け組」になる

 新型コロナウィルスの問題で、都市部の企業、特に大企業はリモートワークを否応なく体験しました。その経験により、「仕事はどこでもできるよね」「場所に囚われない方がコラボレーションしやすいよね」「時間効率は高いよね」などさまざまな気づきを得ました。こうした気づきを得た都市部の企業や大企業(かつオープンな企業)は、働き方を進化させていくことでしょう。

 一方、地方の企業や中小企業で、こうした体験をしなかった企業は、従来の働き方を悪気なく続けてしまいます。

©iStock.com

 その結果、都市部や大企業との働き方の格差が広がります。優秀な人材は、東京を中心とした都市部により集まります。東京へ行かずとも、地方に住んだまま、地方の企業では働かず、リモートで東京の企業で働く。そのようなスタイルも含め、都市部や大企業との人材格差が間違いなく広がるでしょう。

 この先、リモートワークやそれに付随するペーパーレス化は確実に進んでいきます。その波に乗り遅れると、企業力格差が広がり、負け組になってしまいます。

 リモートワークは単なる福利厚生ではありません。企業が優秀な人材を集め、組織としての価値やブランドを高めていくために必要な経営戦略の1つなのです。

【続き】「日本マイクロソフトはなぜ「週勤4日週休3日」に挑戦したのか」を読む

日本マイクロソフト、緊急事態宣言直前にすでに本社出社率が「1.7%」だった背景

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