反日政策は今や「北風」と同じ
では、韓国内での批判を外に向けるために、またぞろ「反日」が蠢き出すのではないかという視角もあるが、別の中道系紙記者は一笑する。
「日本への関心度はかなり低いし、反日は今や北風と同じだといわれていて、政府の求心力を高めるような効果は期待できません。昨年から続いている日本製品不買運動も日本から韓国へ輸入規制が行われたことへの反発ですし、今回も強制労働者(徴用工)裁判での現金化が実現し、日本政府が報復措置をとれば、その措置への反発は高まるかもしれません。しかし、与党が危機に陥っているために、過去を持ち出して日本はけしからんと今言っても、世論もばかじゃない、簡単に反日には動きませんよ」
「北風」とは、かつて保守政党が選挙時に自らを有利に導くために北朝鮮の脅威を利用しようとしたもの。金大中元大統領が当選した大統領選挙でそれらが工作だということが明るみに出てからは、効果はなくなったといわれる。「反日」も同じというわけだ。
サラン第一教会の牧師を逮捕しろ
文政権が立て直しを図るには、再び、感染が広がっている新型コロナ対策と北朝鮮関連しかないといわれたが、新型コロナで保守から救世主が現れた。
韓国では8月15日から感染者が3ケタ台となり、18日には国務総理がソーシャルディスタンシングを引き上げるという談話を出した。しかし、実は、ここにも保守VS進歩の陰が。
8月15日、「反文在寅」集会を行った、保守のサラン第一教会の牧師や信徒らから感染者が急速に広がると、2月の「新天地イエス教会」と同じように信徒全員の名簿を確保しようとする政府と拒否し続けるサラン第一教会との攻防が大々的に報じられ、世論の怒りの矛先は同教会に。牧師を逮捕しろという声も上がる。一方、野党「未来統合党」は、新型コロナの潜伏期間を考えても政府の反応は過度だと非難しつつも、「新型コロナテロ」だと主張するサラン第一教会と一線を引くことに躍起になっている。
こうした攻防に文大統領の支持率は21日には8ポイント跳ね上が
対北朝鮮では安保ラインを刷新し、
自ら点数を落とし、劣勢は変らない文政権だが新型コロナ対策で再び一息つくのか。保守勢力が真の意味で巻き返しを果たせるかどうかの山場は、来年4月に行われる予定のソウル市と釜山市の市長補欠選挙になりそうだ。