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『フェミニズムはもういらない、と彼女は言うけれど』著者・高橋幸氏インタビュー #2

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「高橋は批判しているのか、肯定しているのか、よくわからない」

ーーご著書『フェミニズムはもういらない、と彼女は言うけれど』でも、世の中のポストフェミニズム的な風潮には批判的でも、「めちゃ❤モテ」ブームを支持するような、ポストフェミニストには寄り添う姿勢が印象的です。 

高橋 本を読んでいただいた方に「結局、高橋は『めちゃ❤モテ』みたいなものを批判しているのか、肯定しているのか、よくわからない」って批判をいただいたりもしました。でも、そういったスタンスを取っているのには理由があって。   

 

 2000年代のバックラッシュの時期までは、フェミニズムを無効化しようとするのは保守的なイデオロギーだったと思うんです。「家族を大事に」といった家族主義や、「女は女の性別役割分担を守れ」といった伝統的な保守主義がフェミニズムのいわば「敵」だった。 

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 でも、いま真面目に考えるべき「敵」は、ポストフェミニズムなんだと思うんです。女性差別や女性への抑圧はまだまだなくなっていないんだけれども、「あからさまな差別は少なくなってきたんだから、もうフェミニズムはいらないでしょう」と考える人たちは多い。 

 だからこそ、ポストフェミニストたちはなぜそのような主張をするのか、その裏にある思考や社会的な背景は何か、を考える意味があると思うんです。さらに言えば、そこから現代の「女らしさ」や「女性」が置かれた状況も見えてくると思っています。 

 そんなことを研究する「ポストフェミニズム論」に、ぜひ読者のみなさんにも興味を持っていただければと思います。 

 

写真=今井知佑/文藝春秋

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