昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

上智大が性別枠なしのコンテスト新設、「島宇宙化」…ミスコンのゆくえに社会学者が注目する理由

『フェミニズムはもういらない、と彼女は言うけれど』著者・高橋幸氏インタビュー #2

『CanCam』専属モデルの蛯原友里と押切もえが大ブレイクした2000年代は、雑誌に「モテ」という言葉を刷れば刷るほど売れる時代でもあったーー。 

 前編では、著書『フェミニズムはもういらない、と彼女は言うけれど』を上梓した社会学者の高橋幸氏に、2000年代の女性たちがなぜ「モテ」という言葉を支持したか、 2010年代になぜ「フェミニズム・ブーム」が訪れたかなどを聞いた。

 後編では、“ゆうこす”こと元HKT48の菅本裕子の存在や、今ミスコンを研究する理由について聞く。(前後編の後編/前編はこちら

高橋幸氏

◆ ◆ ◆ 

フェミニストに寄り添ったつもりの企画が炎上、なぜ

ーーメディア業界も昨今のフェミニズム・ブームを受けて、発信の内容を変えているように思います。その一方で、ハフィントンポストの連載のひろゆきさん登場回(*1)など、おそらくフェミニストに寄り添ったつもりの企画が、多くの批判を浴びる光景も目にしました。   

*1……2020年2月7日に掲載された、ハフィントンポスト連載「 #私たちのフェミニズム をみんなで語ろう」第1回「ひろゆきさん、どうして『今の日本では“フェミニズム”って言葉を使わないほうがいい』のですか?」のこと。   

高橋 ひろゆきさんの記事は、典型的なポストフェミニズム的メッセージだったと思います。「男とか女とか、ことさら言わないようにしよう」、「男女で扱いに差なんてつけていないし、もう差別なんてないでしょ」というような姿勢ですよね。 

 でも、「男女によって異なる対応をしない」という建前的な対応だけでは、既存の社会構造を温存するだけになってしまうと思うんです。たとえば、男性部下と女性部下、同じように対応していては、「取引先でセクハラに遭った」というような女性部下の困りごとには対応できないかもしれない。   

 それに、人は人を評価するときに性別や年齢で印象をどうしても形成しがちなので、「私は差別しない」と思っているだけでは、自分が持っている先入観には気づけません。 

ーー国際女性デーに寄せてTBSの女性社員が執筆したnote(*2)が批判を浴びたことも、記憶に新しいです。   

*2……2020年3月8日の国際女性デーに向けて10社以上のメディアが連携したプロジェクトにTBSの女性社員がnote寄せた「私たちはライバルじゃない、手を取り合う仲間たちだ。 『#国際女性デー2020』他メディア連携になぜ参加するか。」のこと(現在は削除)。フェミニストを「なりたくなかったあれ」と表現した言葉が特に批判を浴びた。 

高橋 こちらは、「フェミニズムってダサい」という感覚が、まさにポストフェミニスト的でした。 

 ただ、「なりたくなかったあれ」という感覚は、あの世代のバリバリ仕事をやってきた女性の間では珍しくないと思います。男社会の中でやってきた上に、ポストフェミニズム的な流行を通ってきたから「いやー、あれはかっこ悪いから言いたくない」という気持ちが美学的なものとしてあるという。 

 むしろ、もっと若い女性たちのほうが、躊躇なくフェミニストを公言しますよね。