狙いは民主派の資金源つぶしか
日本でも著名な香港の民主活動家・周庭さんらが国家安全維持法に違反した疑いで逮捕されたことは、大きな注目を集めた。
周さんを含め8月10日に一斉逮捕された10人は全員保釈されたものの、今後も捜査が続く。国家安全維持法はまだ適用が始まったばかりで前例がほとんどない上に、当局側が恣意的に運用出来るとの指摘もある。このため、不透明な部分が多いものの、法律の条文などから今後の流れを読み解いてみたい。
周さんらは、諸外国に中国や香港政府への制裁を求めるSNSのグループに関係し、「海外勢力との結託」にあたる疑いがあるとして逮捕された。
周さんと同じ日に中国に批判的な論調で知られる「リンゴ日報」の創業者、黎智英氏も逮捕された。
香港メディアによると警察は黎氏らが外国の銀行口座を使ってこのSNSグループに資金援助した疑いがあると見て捜査を続けている。同グループは、国家安全維持法が施行された6月30日以降も国際制裁を求めるメッセージやスローガンを掲載し続けていた。
また、5月に同グループが始めたクラウドファンディングキャンペーンも同様に続けられ、8月14日までに170万米ドル以上、日本円で1億8000万円以上を集めた。グループは集めた資金を今後の国際ロビー活動などに使うとしている。
クラウドファンディングとは、ネットを介して特定の目的などに賛同した不特定多数の人から少額ずつ資金を集めるもので、香港メディアはこのグループへの資金提供者が今後の捜査のターゲットになる可能性を指摘している。
国安法第42条に「保釈を認めてはならない」の条文
周さんは保釈された後「もう出られないんじゃないかと思った、本当に怖かった」などと語っている。周さんの恐怖は、国家安全維持法の第42条に由来すると見られる。そこには「犯罪容疑者と被告については、国家の安全を害する行為を引き続き実施することはないと信じる十分な理由が裁判官にないのなら、保釈を認めてはならない」と書かれている。