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保釈された後、「本当に怖かった」と語った周さん

そのまま読めば、いったん逮捕されると基本的に保釈は認められず、拘留施設から出られないようにも取れる。一方で、第41条には「香港特別行政区が管轄する国家の安全を害する犯罪事案の立件捜査、訴追、裁判、刑罰の執行などの訴訟手続き事項については、本法と香港特別行政区の現地法を適用する」とも書かれている。つまり今回保釈が認められたのは香港の法律手続きに則ったと考えられる。

保釈とは保釈保証金の納付などを条件として身柄の拘束をいったん解かれるものだが、釈放と違ってそのまま起訴に向けた捜査や裁判などのプロセスは続く。

起訴されれば勾留か 有罪なら最低でも懲役3年

香港の刑事手続きでは、逮捕後の釈放や保釈が広く認められている。香港では犯罪容疑者が逮捕された場合の勾留時間は48時間で、捜査当局側は48時間以内に起訴出来なければ容疑者を釈放しなければならない。ただし、それまでに警察が捜査を終えることができない場合は、容疑者をいったん保釈し、指定の日に再び出頭させることが可能で、今回はこのケースに当たる。

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周さんは9月1日に出頭するように求められたと語っている。香港の法律によれば、容疑者が出頭した際、警察は捜査の進展状況に応じて容疑者を起訴するか、保釈を継続するか、釈放することができるとされている。

さらに香港には「警察保釈」と「法廷保釈」があり、香港メディアによると今回のケースは「警察保釈」に当たり、例外的な扱いだとしている。国家安全維持法で言うところの保釈は「法廷保釈」のことで、容疑者が起訴された後は、身柄の扱いは裁判所が決めることになる。したがって、条文に則れば被告は基本的には勾留されたまま裁判を受けることになると見られる。

また、国家安全維持法によると、起訴後の公判を担当する裁判官は、政府トップの行政長官が指名した裁判官のグループから選ばれることになっている。これについては香港の法曹界でも「起訴する側が裁判官を選ぶようなものだ」という指摘があり、公平な裁判が行われるのか議論を呼んでいる。