次の3つの記事を紹介しよう。
「Go To 登録3割どまり」(日経8月12日)
「『Go To』効果不透明」(読売8月13日)
「観光Go To効果薄く 開始1か月」(読売8月22日)
とくに「Go To 登録3割どまり」では「中小宿泊施設 広がらず」「手続き煩雑 恩恵、大手偏重に懸念」と大事なことが書いてある。
産経新聞も早々に辛口だった。
8月2日に「【主張】政府のコロナ対応 首相は戦いの前面に立て」と社説を書いているが、「『Go To トラベル』は一時停止すべきである」とはっきり言っていた。
《招かれざる客では旅を心から楽しむこともできまい。まず、感染拡大の収束こそが眼前の課題である。》
もう一度言うが、読売も産経も日経も「Go To」には懐疑的なのに、これを推し進めたという菅官房長官がなぜポスト安倍として存在感を高めているのか。謎すぎる。
「強いお友達」を優遇しただけの政策
考えられるとしたら次の可能性だ。先ほどの日経も指摘していたが恩恵は大手偏重にみえるGo To事業は、
「苦境にある小さな業者を救う仕組みになっていない。利用する側も、コロナ禍で本当に困っている人は旅行に出られない。比較的体力のある大手の業者や、生活に困っていない人が利用するだけに終わる恐れがある」(城西国際大の佐滝剛弘教授・観光学、東京新聞8月22日)
つまり菅氏は「強いお友達」を優遇しただけの政策をやっただけではないのか。そしてここにお金を回したことで存在感が上がるというなら、永田町は強者の方向しか見ていないと考えられる。しかしコロナ禍でその対応でよいのだろうか。
さらに重要なのは今後の検証だ。
国際医療福祉大の松本哲哉教授(感染症学)は、Go To参加者の人数や旅行先、感染者の出た地域など具体的な検証が必要としたうえで、「キャンペーンが人の移動を推奨し、後押しした。感染者の多い地域から少ない地域へ人が移動したことが、今の感染拡大につながった可能性は高い」と指摘する(毎日新聞8月23日)。
なかでも沖縄県は感染者が急増した7月31日に県独自の緊急事態宣言を発表したが「沖縄は明らかに影響を受けた典型例だろう」と松本教授は推察する(毎日新聞・同)。
その沖縄に対して菅官房長官の当たりは厳しい。