ニンテンドースイッチが適正価格で買いたいときに買えない状態が続いています。2017年3月に発売されたのでおよそ3年半が経過していますが、まだ街中のゲームショップでは抽選販売を行っています。その背景には転売屋が大量に買い、それらを中国に送っているという事情があると言われています。
中国市場でニンテンドースイッチは人気で、特に時間とお金に余裕ある大人が買っています。中国の学生に聞いてもあまり買っている人はいないようで、内陸省都の知り合いの中学生にその様子を聞けば、クラスに2、3人所持者がいるくらいだそうです。小学生から高校生まで宿題漬けで遊ぶ余裕がないですからね。
中国のECサイト「淘宝網(タオバオ)」で検索すると、たしかに多くの店で「日版(日本版)」と商品説明に書かれたニンテンドースイッチ本体を販売していることがわかります。これまた日本では入手困難なフィットネスゲーム「リングフィットアドベンチャー」もタオバオなどで売られています。
中国版ニンテンドースイッチは売れていない
中国では真っ先に新型コロナの感染拡大が起き「国民総ステイホーム」となった中、「リングフィットアドベンチャー」やフィットネスマシーンが売れました。以前は中国未発売のWii本体と「Wii Sports」の「勝手に輸入商品」が中国で売れた時期がありました。そのときも20代、30代の社会人が口コミを聞いて実際に見て触って買っていました。普段はゲームをプレーしない成人女性が筆者の見える範囲だけでも何人も買ってました。「リングフィットアドベンチャー」も同じように売れていそうです。
さらには「リングフィットアドベンチャー」は、中国ネット論壇での話題に比べて中国国内での流通数、つまりは中国国外からの転売品の数が圧倒的に少なく、「(中国国内で)転売すれば儲かる理財商品」なんて言われるほど値段が高騰しました。中国のゲーム価格が転売で日本の価格よりも高くなっていても、中国人にとってはこれまでもずっと日本からの転売価格でゲームを買っていたので、「高い」と嘆くことはなく、欲しい中国人にとっては適正価格だと感じるわけです。日本人のゲーマーにしてみれば、日本向け商品なのに日本で買いたい人が手に取れず、中国では買いたい人が買える状態を見るにつけ愚痴のひとつももらしたくなります。
中国でもインターネット企業でゲーム最大手の「騰訊(テンセント)」からニンテンドースイッチが発売されて約1年となります。発売されてるんですよ、中国向けのニンテンドースイッチが。だったらテンセント版を買えば、転売で値段が上乗せされているわけでもないしいいじゃないか、と思うでしょう。ところが結局テンセント版ニンテンドースイッチは売れていません。むしろテンセント版を買う人は、人柱として突撃して殉死したゲーム戦士のように「国行烈士」と呼ばれる始末です。