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海賊版をダウンロードして遊びまくる

 で、その神遊機も、ものすごくタイトルが少なかったのです。主に任天堂のタイトルなど数本が中国語化されただけであり、いずれもやりこめば十分ペイできる良作ばかりではあるのですが、やはりタイトルが少なすぎるのは弱い。当時中国の若者たちは、ライバル機であるPlayStation2(PS2)やPlayStation Portable(PSP)で、無数のタイトルから人気タイトルの海賊版をダウンロードして遊びまくったのでした。タダで遊ぶ中国人を横目にクールなジャパンに金落としてほしかったですよ。

 神遊機も検閲が原因でタイトルが少なくて売れなかったように、テンセント版ニンテンドースイッチも同様の理由で普及していません。中国版発売のニュースが報じられた際には「あのテンセントがニンテンドースイッチを売るなら、売れること間違いなし!」なんていう趣旨の意見も見聞きしましたが、そんなことはないのは歴史が証明しているんですよね。ただ救いがあるのは以前と異なり、クレジットカードでダウンロード購入する消費者が中国でも増えてきたということです。そうした事情から「タオバオ」ではゲームソフトよりも、主にニンテンドースイッチの本体と周辺機器やゲームアクセサリーが売られています。「あつ森」グッズもいろいろ揃っています。

中国では「あつ森」グッズも多数転売されている

 ところで中国といえば検閲です。Google、YouTube、Twitter、Facebookなどのサービスは使えず、中国ユーザー向けサーバーは中国内に移転し、人気ゲーム「マインクラフト」は中国ネット大手「網易(ネットイース)」からリリースされています。中国が管理できるよう自国向けコンテンツは自国のサーバーで提供しているわけです。だからこそニンテンドースイッチもテンセントから中国向け正規版が発売されました。

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中国から売れるゲーム機が出れば…

 でも結局は日本版のニンテンドースイッチ本体が売れていて、みんな未審査の外国のコンテンツをダウンロードして遊んでいるわけですよ。中国当局がある日突然GAFAを締め出したように、ゲームだってやろうと思えばできるし、販売禁止にすることだってできる。でも中国ではずっと外国の(検閲されていない)ゲームが買えてネットにつなげて遊べるままなのです。中国産ゲーム機が大ヒットしてれば、いくらでも日本のゲーム機を締め出せるんだろうけど、これまで出てきたゲーム機は本当にひどいものばかりで、オリジナルのゲーム機が育ってない。僕自身が人柱になってダメハードをウォッチし買い続けてるから間違いない。

テンセントは中国未発売のソフトのネット加速器(ソフト)をリリースする始末

 中国のダメゲームハードに比べて日本のゲーム機はまだまだ面白く、今後も日本のゲーム機を中国人が欲しがり続けるでしょう。中国から売れるゲーム機が出れば、ひょっとしたら家電量販店などで見るニンテンドースイッチの抽選販売がなくなり、日本の欲しい家庭に行きわたるんじゃないかと思います。でもそれは期待薄なので、しばらくは所得があがる中国人ニーズを前に抽選販売は続き、「ぐぬぬ」と微妙な気持ちになりそうです。

※記事中に「外国版のニンテンドースイッチ用ソフトが遊べないからなんですね」との記述がありましたが、正しくは「外国版のニンテンドースイッチ用ソフトを遊ぼうとしても、ダウンロードができないので更新や修正ができずまともに遊べないからなんですね」でした。お詫びして訂正します【2020年9月1日15:00追記】。