中国版は遊べるソフトが10種類だけ
なぜテンセント版ニンテンドースイッチが中国人の間で電子ゴミのような扱いとなっているかというと、外国版のニンテンドースイッチ用ソフトを遊ぼうとしても、ダウンロードができないので更新や修正ができずまともに遊べないからなんですね。日本向けのゲームは、2017年から2019年までにパッケージ販売だけでおよそ400タイトルが出ています。今年発売のタイトルと、ダウンロード専用コンテンツを合わせると、さらに莫大な数になります。
一方の中国版はというと、2019年に「NEWスーパーマリオブラザーズUデラックス」1タイトル、2020年に任天堂のヒットタイトル「スーパーマリオオデッセイ」と「マリオカート8デラックス」に加え、無料ダウンロード版が提供されているなわとびゲーム「ジャンプロープ チャレンジ」のほか、テンセントのゲームなど計8タイトル、2019年分とあわせて全9タイトルが発売されているだけです。そして10タイトル目として「リングフィットアドベンチャー」が発売されます。
中国版のニンテンドースイッチには「あつ森」でお馴染みの「あつまれどうぶつの森」や「スマブラ」こと「大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL」、「ポケモン」こと「ポケットモンスター ソード・シールド」すらないんですよ。任天堂がニンテンドースイッチ向けに数十万本、数百万本売れるヒット商品を連発している一方で、中国向けニンテンドースイッチでは発売タイトルにも挙がっていない。そりゃあ外国版のニンテンドースイッチを買いたいという欲が減衰することはなく、中国版を買う人は「国行烈士」と指をさされるわけです。
中国のNGワード「64」
なぜ中国版のタイトルがこれほどまでに発売できないのでしょうか。検閲に時間がかかるのが原因です。結局検閲があるからタイトルが出せず、タイトルが出せないからハード発売後も外国版に依存し、検閲を通っていない中国未発売タイトルが遊ばれる状態が続いています。
以前中国で「神遊機(iQue)」という著作権をクリアした中国語タイトルが遊べる任天堂のゲーム機が売られていたことがあります。ニンテンドースイッチの4代前、スーパーファミコンの後のハード「ニンテンドー64」というゲーム機があるのですが、この中国版が「神遊機」です。中国のNGワードでお馴染み天安門事件は「6月4日」がキーワードだから、そのままの名前はNGで、ゲームについても「スーパーマリオ64」は「神遊マリオ」になるなど、もろもろのタイトルから「64」が取れてます。
海賊版対策のために、当時としては新しいダウンロード販売という形で様々なタイトルが提供されました。専用プリペイドカードを買って家でダウンロードするか、おもちゃ屋に設置されている専用のゲームダウンロードマシンでダウンロードします。いまや主流になったネットでのダウンロード購入と、昔なつかしファミコンのディスクシステムの販売手法の双方で販売してたわけです(おっさんゲーマーにしかわからない表現で申し訳ございません)。