チームに受け継がれる「直人イズム」
例えば、現在ヤクルトスワローズに在籍している田代将太郎選手。戦力外通告を受け、引退を考えていたとき、直人選手からもらった電話がきっかけで、もう一度プロ野球選手として頑張ろうと奮起。トライアウトを経て、現在も現役を続けています。自身も戦力外通告を受けていたのに、チームメイトに親身になってアドバイスした直人選手の気遣いには、本当に頭が下がります。
直人選手が引退発表をした3日前の9月10日、今年から直人選手の自主トレに参加している「直人チルドレン」の1人、岩見雅紀選手がプロ初ホームランを放ちました。
ベンチに戻ってきた岩見選手を目を細めてハグする直人選手の姿がとても印象的でした。岩見選手は「直人選手に野球と向き合う姿勢、向き合い方、(試合への)臨み方を教わった。人との関わり方も含めて教えてもらった」と振り返っています。この日に限らず、昔から、直人選手はイニング終わりにチームメイトが守備を終えてベンチに返ってくるとき、ベンチの一番前で仲間を出迎えます。常にグラウンド全体を明るくするようなムードを作っていた直人選手。昨シーズンの練習中、サード付近で直人選手とウィーラー選手の掛け合いに取材陣が「もらい笑い」をすることもしばしばでした。
2019年から直人選手とともに自主トレを行っている山下斐紹選手は、「直人チルドレン」の一人。「直人イズム」を継承し、試合中はベンチの一番前で仲間を出迎え、練習の時も元気に声を出しています。
引退会見の日、仙台のテレビ局・東日本放送のスポーツ番組「もえスポ」の天気予報で、予報の背景に流れる映像に直人選手の名場面が流れました。BGMは登場曲「栄光の架橋」。
涙のトレード会見、背番号2の活躍したシーン、ベイスターズのユニフォームを着て楽天生命パークに立つ姿、復帰の会見、去年モイネロ選手から打った同点ホームラン。予報を伝えていた某アナにはごめんねと思いながら天気予報はあまり頭に入らず、思わず泣いてしまいました。
直人選手の引退セレモニー。まだ開催の可否や日程はでていませんがその折には、スタイリッシュなブラックが気に入って買った2018年のTOHOKU PRIDEユニフォームの26番を着て楽パに駆けつける予定です。ファンの皆さんと共に、直人選手にこれまでの感謝とありがとうを伝えたいです。
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