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「投げるだけではなくて、やれることは沢山ある」

 澤村がよく言うのは「投げるだけではなくて、やれることは沢山ある」と言う事だ。それはベンチでの声出しであったり、ブルペンで登板を告げられた選手を励ましたり水を渡す作業でもある。そして今回のようにチームを鼓舞することも含まれるのだろう。

「負けたくない。勝ちたいですもんね。そのためにはなにが出来るか。個人ではなくてチームスポーツの中で自分になにができるか。悔いは残したくない」。46年ぶりのリーグ1位でのリーグ優勝を目指すマリーンズ(05年はリーグ2位。プレーオフに勝利しての優勝が当時はリーグ優勝の定義)。その勝利の方程式に組み込まれ、首脳陣から全幅の信頼を置かれ、任された澤村の表情はキラキラ輝いている。そして彼が放つ光が周囲にも広がっている。

 力みが見えたのはあの試合だけだった。その後はいつもの澤村に戻る。150キロ台中盤の剛速球に140キロ台後半を記録することもあるスプリットに打者は手も足も出ない。炎の投球でマリーンズの勝利を確実なものにしている。そしてベンチに戻ると仲間たちと声をかけあい、ベンチから戦況を見守り、声を出す。登板後の肩へのアイシングをしながらマウンドで打者を打ち取った際の絶叫さながらの叫び声を上げている。優勝経験のない若手が多い投手陣にあってその存在は頼もしい限りだ。澤村という頼もしい男が加わったマリーンズは、10月はさらに勢いづく。悲願のリーグ1位での優勝をつかみ取る。優勝した時に、どのような熱いメッセージがチームLINEに届くのか。楽しみにしておきたい。

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梶原紀章(千葉ロッテマリーンズ広報)

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