「誰を愛するか」という観点から考えたとき、最近では少しずつ映画やドラマなどの物語での“愛”の描かれ方は多様になってきたように感じます。
これまでの物語はその多くが異性愛の男女によるもの。しかし、少しずつ同性愛をテーマにした物語も増え、その恋愛に主題が置かれていなかったとしても、同性愛のキャラクターが登場する物語も増えてきました。さらに海外の映画やドラマなどには顕著ですが、もはや「同性愛者であること」ということは1つの情報として捉えられるだけ、という場合もあるほどです。
これまで“ないもの”にされてきた人々の存在が、物語においても少しずつ可視化されてきたと言えるのだと思います。
しかし、そんな少しずつ多様性が広まってきた物語の中でも、まだまだ「想定されていない」と感じるセクシュアリティが多くあるのも事実。その1つが、そもそも恋愛をしないAロマンティック(アロマンティック、エイロマンティック)というセクシュアリティです。
「恋愛をすることは当たり前」という社会の前提の中で、“ないこと”にされてしまっているアセクシュアル。恋愛をテーマにした映画やドラマではなかったとしても、多くの物語で登場人物は当たり前のように恋愛感情を抱きます。今回は、そんな「自分はまだまだ想定されていないんだ」と感じて生きてきた人物のエピソードをご紹介します。