「まったく売れなかった」1985年の歌手デビュー
YOUがデビューするきっかけは、高校卒業まぎわに原宿でモデル
ラジカル・ガジベリビンバ・システムの公演には、コアな観客からアンケートで酷評を受けながらも、3年ほど出演を続ける。その舞台を観たミュージシャンの戸田誠司から誘われ、1988年にバンド「FAIRCHILD」を結成、ボーカルを務めた。YOUの芸名で活動を始めたのはこのときからだ。1990年には「探してるのにぃ」という曲でヒットも飛ばした。このころ、シロクマの着ぐるみでCMに出演したり、ワニをペットにしていると雑誌で紹介されたりと、メディアではいわゆる“不思議ちゃん”的な扱いだったのが、いまからすれば意外な気もする。
「6週間無視され続けた」30年前、ダウンタウンとの出会い
その後の人生に大きな影響を与える出会いがあったのも、FAIRCHILD時代である。大阪・MBSラジオの深夜番組『ヤングタウン』の木曜のパーソナリティーだったダウンタウンの相手役を新たに決めるにあたり、構成作家の倉本美津留の推薦でYOUが起用されたのだ。倉本は、テレビの音楽番組で歌手の泉谷しげると彼女の会話がまったく噛み合わないのを見て、ピンと来るものがあったらしい。
しかし、いざ出演し始めたものの、ダウンタウンは2人でずっと話し続け、YOUにはまったく声をかけてくれない。じつに約6週間も無視されっぱなしで、彼女はストレスから胃潰瘍になってしまうほどだった。そんなとき、初めて浜田雅功が話しかけてくれ、この機を逃すまいとがむしゃらに飛びこんでいった。そこでようやく話に加わることができ、松本人志もしゃべってくれるようになったという(※5)。
“ラッキーだった”『ごっつええ感じ』
それから1年半ほど経った1991年、今度はフジテレビで『ダウンタウンのごっつええ感じ』がスタートする。それまでバンドのプロモーション以外にテレビに出ることはほとんどなく、コントも初体験だった。このオファーがあったとき、周囲の人たちからはことごとく反対さ