《あの番組に携われたのは時代的にも人的にもラッキーだったっていうこと。私の、その後の人生を方向づけたのは間違いなくダウンタウンですから。二人に出会う前は、シニカルな東京の笑いしか知らなかった。そこにエンターテインメント性が入ったダウンタウンはやっぱり最強でした》(※6)
『ごっつええ感じ』は産休のため途中で降板するが、その後、松本人志の『松ごっつ』(フジテレビ系)で出演者が鬼ババの格好をするコーナーにて活動を再開した。産休中、同番組を見て、復帰第1弾はこれと決めていたとか(※7)。もともと《働きたくないタイプなので専業主婦でも良かったんですが、いざ仕事を再開したら楽しくて楽しくて》、産休明けの30代半ばにして、ダウンタウン関連以外の番組にも続々と出演するようになる(※4)。バラエティで“姉さん”的なポジションにつくようになったのもこのころだ。
「嘘がない」樹木希林もホメた“演技力”
ある対談で半生を振り返って、《だいたい私、誘われての人生なんです。自分で事を起こさないんですよ(笑い)》と発言しているように(※8)、YOUはバンド活動にせよ、ダウン
是枝作品にはその後もたびたび出演している。映画『歩いても 歩いても』(2008年)では、樹木希林と母娘の役で共演した。その公開時、樹木との対談でYOUが《私は台本にないことをその場のノリでしゃべっちゃう。普通の女優さんなら対応してくれません。でも、私がどんなにとんちんかんでも、お母さんはそれを受け止めて倍にして返してくれた。刺激的でした》と述べたのに対し、樹木は《とんちんかんでも勝手なことをやっているのとは違う。台本を自分の中で消化して、生理的に嘘のない言葉を発している。だから、ああ、ちなみ[引用者注:YOUの役名]なら言いそう、と思えるの》と返し、彼女の演技を高く評価している(※10)。