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 同じ対談では、樹木から《あなたどうしてバラエティが好きなの?》と訊かれ、YOUは《何が起こるかわからないから。突発的な出来事に対して、一番ましな対処をしていくのが好き。(中略)できあがりを想定して、積み重ねてゴールに向かうよりも、現場の勝負感を大事にしたい》と答えている(※10)。これはまさにダウンタウンとのやりとりを通して覚えたものだろう。その後、YOUは是枝作品以外にも映画やドラマにあいついで出演し、女優としても注目されるようになったが、どんな役を演じようとも、バラエティ番組と同じく自然体という雰囲気を漂わせている。

98年撮影

なぜYOUは30年以上芸能界でサバイバルできたのか

 だが、自然体というだけなら、ここまで芸能界で長く活動は続けられなかったはずだ。あるインタビューで、浮き沈みの激しい世界でずっと活躍してこられた秘訣を訊かれ、彼女はこんなふうに答えている。

《自分が何を望まれているかを把握して、ちょっとプラスぐらいは返したいなといつも思ってますね。でもムリは絶対にしない。できないことはできないし、それをできると信じたりもしない。かなわない夢は見ないタイプなので》(※11)

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 どうやら彼女が長らく活動し続けてこられた最大の源は「自分が何を望まれているかを把握」する能力にあるらしい。三谷幸喜からの相談に即座に応えられるのも、バラエティで後輩タレントたちから慕われるのも、この能力のおかげであることは間違いない。もっとも、本人に言わせると、《尊敬できる方々と仕事をするのは本当に大好きで》、本来なら《親分にくっついて回る子分の立場でいたいのに、最近は年下が増えてきちゃって、正直、めんどくせーなーと思っています(笑)》とのことだが(※4)。面倒くさいと言いつつも、結局、相手の望みに応えてしまうのが、YOUの“姉さん”たるゆえんなのだろう。

©文藝春秋

※1 『婦人公論』2006年1月22日号
※2 藤井隆「叔母のYOUさんのこと」(YOU『とりあえず一回ねる。』学習研究社、2007年所収)
※3 『日経ウーマン』2013年6月号
※4 『週刊文春』2017年7月20日号
※5 『日経ウーマン』2013年7月号
※6 『クイック・ジャパン』vol.104(太田出版、2012年)
※7 『EX大衆』2006年2月号
※8 『週刊朝日』2004年8月27日号
※9 『キネマ旬報』2005年2月下旬号
※10 『婦人公論』2008年6月22日号
※11 『日経ビジネス アソシエ』2008年2月19日号