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ダウンタウンから6週間無視されたYOU 『ごっつええ感じ』スタート30年、YOUが語っていた“芸能界サバイバル術”とは?

8月29日はタレントYOUの誕生日

2020/08/29

 脚本家の三谷幸喜は、NHKの大河ドラマ『新選組!』(2004年)の脚本を書き始めたころ、新選組の初代隊長の芹沢鴨という、アルコール依存症でサディスティックな男の心情がどうしてもわからなかった。そこである知人に電話をして相談に乗ってもらう。もっとも、その知人は新選組についてくわしいわけではない。それにもかかわらず、「その芹沢って、こんな男じゃない?」と言い当て、アルコール依存症の人がなぜ酒に溺れるのか、即座に細かく分析してくれた。じつは当人はそのとき酔っ払っており、あとから振り返るとどう答えたのか全然覚えていないのだが、三谷のなかでは相談したおかげで芹沢鴨像ができあがり、一気に書き出せたという。彼はこの話をその知人――タレントのYOUとの対談で、《YOUさんと知り合って本当によかったなと思った最初の瞬間》としてあげている(※1)。

なぜYOUは男性から慕われるのか

 三谷にとってYOUは、いつも的確なことを言ってくれるので、自分のドラマや映画についてまず意見を聞きたい相手だという。そんなふうに相談したり話を聞いてもらいたくなるのは、どうやら三谷ばかりではないらしい。先の対談でYOUはこんなことを話していた。

8月29日に誕生日を迎えたYOU ©文藝春秋

《このあいだ、高野山に行ったのね。仲良くなったお坊さんに、「YOUさんとは初対面なのにベラベラ喋っている自分がいて、なんでだろうとずっと考えてみて、わかった。あなたにはオカンのオーラがある」と言われたんです。私、男子に対して、先生なのか母親なのかわからないけど、ユル~くさせる何かを出しているらしく、そう言われたとき、自分でも「ああ!」と思い当たった》(※1)

 芸能界にもそんなふうにYOUを慕う男性は多い。藤井隆もそのひとりで、YOUとは互いに「甥」「叔母」と呼び合う仲らしい。藤井は、彼女のエッセイ集に寄せた文章で、《叔母のことを「毒舌家」と思ってる人がいるが、叔母は皮肉や悪口のレベルなんかで話していない。ピタリと適量で伝えているだけだ。内容はむちゃくちゃなことを言ってるときもあるが、質ではなく量がぴったり。叔母は文章からも相手や自分、物や事をよくも悪くも納得させる「量」を知るためのヒントを我々に教えてくれる》と書いていた(※2)。思ったことを率直に、しかし言い過ぎない範囲で伝えて相手を納得させる、それこそがYOUの魅力ということだろう。テレビのバラエティ番組でも、“姉さん”的なポジションに置かれがちなのも合点がいく。きょう8月29日が誕生日である彼女は、そうした位置にどうやってたどり着いたのだろうか。