スポーツ試合がことごとく中止に
レブロン・ジェームズ選手は以前よりBLMを始めとする数々の政治/社会活動に加わり、現在も11月に迫った大統領選への投票を呼び掛けつつ、マイノリティの生活環境に多大な影響を与える国勢調査の推進プロジェクトにも参加している。ただし25日にコメントを発した時点では翌日の試合ボイコットを望んでいなかった。
事態が一転したのは翌26日だ。この日、バスケットボール、野球、サッカーの選手たちが次々と試合をボイコットした。大坂選手はこの日の夜に翌日の棄権を表明している。
NBA(ナショナル・バスケットボール・アソシエーション)
ミルウォーキー・バックスが試合ボイコットを決断したことに端を発し、この日に予定されていた3試合が全て中止に。これが他のプロ・スポーツにも瞬く間に伝播。同日、テレビのスポーツ番組では元NBA選手のコメンテイターがボイコットに賛同し、番組中にスタジオを後にした。
WNBA(ウイミンズ・ナショナル・バスケットボール・アソシエーション)
予定されていた全3試合を中止。メンバーはコートに現れ、連帯の証として床に片膝をついた。全員が先の事件で警官に撃たれた黒人男性ジェイコブ・ブレイク氏の名を綴ったTシャツを着、その背中にはブレイク氏が受けた「7発の銃痕」が描かれていた。
MLB(メジャー・リーグ・ベースボール)
16試合中の3試合が中止。サンフランシスコにある球場オラクル・パークのデジタルスクリーンに巨大な「Black Lives Matter」の文字が映し出された。ニューヨーク・メッツは試合を敢行したが、ドミニク・スミス選手は試合前の国歌斉唱時にただ一人、膝をついた。試合後の記者会見では止めどなく涙を流しながら「アメリカで黒人男性であるのは容易いことではない」「アスリートは普段よりも声を上げるべきだ」と語った。
MLS(メジャー・リーグ・サッカー)
予定されていた6試合のうち5試合を中止。選手は「Black Lives Matter」のTシャツを着てフィールドに現れ、肩を組んだ。
NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)
同日に試合の予定は無く、翌27日の練習を中止。
NHL(ナショナル・ホッケー・リーグ)
2試合を予定どおりに開催。翌27日と翌々日のそれぞれ2試合を中止。
かねてより人種差別問題への発言を続けているNBA、WNBAだけでなく、バスケットボールに比べると黒人選手数の比率が少ないMLB、MLSも賛同し、強い連帯を示した。一方、選手もファンも白人が大多数を占めるNHLは試合を続行した。
26日の夜、大坂選手はツイッターに英語と日本語でメッセージを上げた。「私はアスリートである前に黒人女性」「警官の手による黒人虐殺が続くのを見るのは、正直、吐き気がするほどです」など、真摯かつ強い内容だった。これを受け、ウエスタン・アンド・サザン・オープン主催者は翌27日の試合を取り止め、28日に行うと発表。この決定により大坂選手は28日の試合出場を決めている。