主人公に「好きなら自分からもっと積極的に示せ」と説教したかった
——特に力を入れて描いたシーンは?
ふせでぃ アキちゃんが夏樹くんに告白する場面です。夏樹くんもアキちゃんのこと好きだったのに……。「彼は私のことなんて特別に好きじゃない」と決めつけていて、じつは自分のほうから突き放してたことにアキちゃんが気づけてよかったなと。
——失恋はしたけれど、そのことに「気づくことができた」シーンととらえているわけですね。
ふせでぃ 好きなら自分からもっと積極的に示せばよかったと学ぶ。それって大事なことだと思うんです。
——うーん。夏樹くんと心が通い合って、ここでうまくいくかと思ったんですけどねぇ。
ふせでぃ 世の中、なんでもちょっとしたタイミングで運命が分かれることが多いなと日頃から思っていて。「あれが1日早かったら違う結果になっていたはず」みたいなことってありますよね。私も後悔がいっぱいあるんで(笑)。
——でも、その「失敗」が、別の良い出会いのきっかけにもなりえるわけで。読み手にもそういう希望を感じさせると思います。
ふせでぃ ラストをどうするかはずいぶん悩んだんですよ。でも、この作品では救いを描きたかった。ここから主人公を救うにはどうしたらいいかなっていろいろ考えて……仕事で出世してみるとか、新しい道を見つけるとか。でも、恋愛の葛藤の救いがないまま、男性不信のまま終わるのは嫌だなと思ったんです。
——キズついたアキちゃんが努力する姿が健気で泣けます! 悲しみを自力で乗り越えていく強さを感じました。
ふせでぃ 「苦しいだろうけど克服してくれ」という一心でしたね。
——いろいろなことが起こって、さまざまな感情と成長が描かれていて。全1巻にして読みごたえのあるドラマでした。