認知症と共にある人生を穏やかに送ることは十分可能。しかしそのためには本人や家族だけが背負うのではなく、ケアマネジャーと話し合い、介護保険サービスをフル活用することが必須となる。よいケアマネとの出会いこそが、よい「認知症生活」への近道なのだ。(全2回の2回目/前編を読む)
ケアマネージャーとは?
通所型の施設は、好きな時に通って好きなように利用する、という類のものではない。すべてはプロが作成したケアプラン(居宅サービス計画書)に基づいて行われる。それを司るのが担当のケアマネジャーだ。
ケアマネジャー(以下ケアマネ)は介護のスペシャリスト。各都道府県の実施する試験に合格した、公的資格の保持者だ。
その役割は、介護を必要とする人の相談に乗り、その人に適したケアが受けられるようコーディネートすること。良い介護生活には、良いケアマネとの出会いがカギとなる。介護生活の成否を握る重要な存在だ。
ケアマネは居宅介護支援事業所に所属している。要介護認定を受けると、結果と共に市区町村内の事業所リストが送られてくる。この中から事業所を選び、介護保険サービスの契約をすることになる。
よいケアマネを選ぶポイント
よいケアマネのいる事業所を探したいが、地域包括に「どこがお勧めですか」と聞いても、立場上答えてはくれないという。
そこで高室代表は、3つの質問をしてみるとよい、とアドバイスする。
まずは「家から近い事業所はどこですか?」。
ケアマネは1人あたり最大35人の利用者を担当する激務。家から家へ、移動だけでも大きな負担だ。
「やはり自宅と事業所の距離が近いほうが、ケアマネがまめに自宅を訪れてくれるなど、きめ細かい対応が期待できます。また、事業所は介護施設と併設されている場合が多いですが、利用者本人にとっても、送迎車が各家庭を巡回してピックアップする間、じっと車の中で待っているのは辛い。事業所は近いに越したことはありません」(高室代表)
次に「ケアマネさんが3人以上いる事業所はありますか?」。地域によってはケアマネが1人しかいない事業所もあるが、やはり規模が大きい方が、さまざまな視点からの目配りが期待できるのは事実だという。
3つ目は「ベテランのケアマネさんがいる事業所はどこですか?」。
現場経験豊かなケアマネに担当してもらえれば非常に心強い。ケアマネの上位資格に「主任ケアマネジャー」があり、その要件には5年以上のケアマネ歴などが設定されているので、「主任ケアマネさんがいる事業所はどこですか?」と聞くのもいいだろう。
あるいは、事業所がどこに併設されているかに着目する選び方もある。認知症疾患医療センターや、認知症外来がある病院に併設された事業所なら、介護と医療が密に連携したケアを行っている可能性が高いと言えるだろう。