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【幹事長続投】二階俊博の黒い魂胆 「菅政権樹立の功労者」で〈重要ポストを手中に…〉

“ポスト安倍総裁選”の荒波を最も巧みに乗りこなした男の基本戦略とは

2020/09/11

「安倍首相が吐血」報道で健康不安説に火が

 ところが8月上旬、写真週刊誌『FLASH』(8月18・25日号)が「7月6日に安倍首相が吐血」と報じ、健康不安説に火がつく。その頃、安倍は潰瘍性大腸炎の再発を主治医から正式に告げられていた。

 終戦記念日の8月15日、安倍は麻生を自宅に招き約1時間会談した。翌々日に控えた慶応病院での精密検査の結果次第では、そのまま長期入院となる可能性もある。その場合、政権運営を麻生に託すしかない。安倍は第1次政権での辞任の際も、幹事長だった麻生に真っ先に伝えている。安倍周辺も「総理は菅さんより麻生さんを信頼している」とみる。

 麻生も「もし安倍総理に何か起きたら自分がやる」と周囲に公言していた。政府専用機に搭乗する際、総理は1号機、副総理は2号機に分乗するとの取り決めがある。不慮の事故でトップ2人が同時に不在となるのを避けるためだが、麻生はいつも「オレは総理と話がある」と、安倍と一緒に1号機に同乗することを求めた。周囲がたしなめると「両方死んだら、菅に(総理を)やらせりゃあいいんだよ」と、意味ありげにニヤリとするのが常だった。

菅義偉官房長官 ©文藝春秋

 一方、甘利は安倍が麻生と会った翌16日のフジテレビの番組で、「(安倍は)休むことが罪だというような意識まで持っている。強制的に数日でいいので休ませなきゃだめだ」と、すぐに休養が必要との認識を示した。甘利も安倍が休養をとり、麻生が臨時代理として首相を務める可能性が高いと受け止めていた。第2次麻生政権の足音が聞こえてきた。

 もっとも、内閣法は臨時代理の要件として「事故のあるとき」を挙げているものの、ときの首相が入院した場合も含まれるかは見解が分かれる。菅に近い国会対策委員長の森山裕は、この点を記者団に問われると「(該当するかどうかは)首相の専権事項だ」と濁している。森山の発言は菅の意向か、あるいは安倍の意向かと、疑心暗鬼が広がった。