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 だが、臨時代理の正統性が争点となる以前に、そもそも安倍が入院を受け入れなかった。当初は1週間程度の入院が必要と病院側から言われたが、安倍は1週間であっても政治空白をつくるのを避けるため入院せず、臨時代理も置かないことを決意する。この時、安倍はギリギリ執務可能と判断したのだ。

 しかし結局、安倍は24日の再検査の結果を受けて続投を断念。麻生は安倍の退陣表明後の麻生派の会合で「私自身が自民党総裁をめざすことはない」と述べ、自身の出馬を明確に否定した。この瞬間、第2次麻生政権は幻に終わった。

菅との会談を絶妙に入れた二階

 麻生が臨時代理に就くかどうかが焦点となっていた頃、安倍と決して折り合いがいいとは言えない二階は慎重に動きを見定めていた。二階の基本戦略は「勝ち馬に乗る」こと。総裁候補がいない二階派の現状を逆手に取り、特定の候補者が過半数にあと一歩届かない状況が生まれたとき、自らがその最後の一手となる。そして政権樹立の功労者となり、政権の重要ポストを手中に収める――そんなしたたかな戦略だ。

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「文藝春秋」10月号

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「二階俊博」その男、面妖につき――新政権樹立の功労者へ