とんねるずの石橋貴明が今年夏からYouTubeを始めたケースはあるものの、おおむねベテラン勢はYouTubeでの活動に及び腰だ。今年2月、明石家さんまが「オレらテレビに出る人間の敵はYouTubeやで!」と、「ホンマでっか!?TV」(フジテレビ系)で発言したことも話題になった。
お笑い業界に詳しいライターの鈴木旭氏は、若手芸人がYouTubeやSNSを活用することで、「これまでの世代の芸人とは違う感覚が磨かれている」という。
「霜降りのせいやさんは、SNSにものまね動画を上げたりしてファンとのコミュニケーションを図っているし、EXITの兼近さんは率直に感じたことをツイートして、評価されたり批判されたりしている。そうやってテレビでは受け取ることのできないリアルな反応を日々浴びながら、自然とダイバーシティ感覚が磨かれているんだと思います。
つまり『どうやれば受け入れられるのか』『何をすると嫌われてしまうのか』が感覚的に分かっている。YouTube動画なら、自分たちの考えた『笑い』そのものがどう評価されているかコメント欄を通じて知ることもできる。今の若手芸人は“どんな自分でいるとファンが喜ぶか”を本当によく理解していると思います」
コロナ禍で注目されたニューヨーク
圏外から22位となったニューヨークについても、YouTubeでの活躍に熱いメッセージが寄せられたが、鈴木氏はコロナ禍との関係を指摘する。
「ニューヨークは、吉本興業の劇場が全公演中止となった今年3月2日から25日までの約3週間、彼らがYouTubeで配信するラジオ番組「ニューヨークのニューラジオ」に毎日ゲストの芸人を招いてトークする試みを実施しました(1日だけ仕事の都合で後輩芸人が代役した回あり)。コロナ禍でYouTube需要が高まる中、このラジオ番組に不安な気持ちが救われたという声も多くあった。また、20代の芸人とは違って泥臭く上を目指すというニューヨークの“人間臭さ”も、視聴者の心に刺さったのかもしれません」