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“TOKIO再結成”のシナリオをぶち壊してしまった

 これは想像の域を出ないが、そうした日々を過ごす中で、山口容疑者がふと言い知れぬ寂しさを感じることもあったのかもしれない。そして、その気持ちを紛らわすためにアルコールに手を出してしまうことは、何の罪でもない。

 しかし、アルコールを身体に入れた状態でバイクに跨ることは、紛れもない犯罪行為だ。仮に、彼がアルコール依存症に悩み、終わりの見えない治療に苦しんでいたとしても、酒を飲んでバイクに乗ることは全くの別問題だ。今回は物損事故で済んだが、山口容疑者が人を轢いていた可能性も、そしてその人が命を落としていた可能性も十分にある。

 私は週刊文春の記者時代に、酒気帯び運転によって大切な家族を失った遺族の方に取材をしたことがある。その絶望や怒りは、言葉では言い表せないほどであった。一方、取り返しのつかない罪を背負った加害者もまた、自らの行為を悔やみ続け、出口のない暗いトンネルの中を生きていた。

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2018年、謝罪会見で涙をこぼす山口容疑者 ©文藝春秋

 山口容疑者は今回、そうした犯罪に手を染めてしまったのだ。そしてそのことにより、メンバーと事務所が少しずつ準備してくれていた“山口復帰”、そして“TOKIO再結成”というシナリオを粉々にぶち壊してしまった。

山口容疑者が踏みにじった“メンバーの思い”

 私はこれまでも取材の中で、業界関係者からTOKIOの評判を何度も耳にしてきたが、TOKIOに言及する人は誰しも、5人の絆の強さと“メンバー愛”について語っていた。TOKIOのファンもまた、5人の仲の良さ、関係性に惹かれるところが大きかったと思う。

 今回の山口容疑者の愚行は、そうした多くの人たちの思いを踏みにじるものだった。そしてこの逮捕によって、TOKIO再結成への道のりは限りなく厳しくなってしまった。なによりもそのことが残念でならない。