夫が関心を向けていない
女性が結婚後に求めているのは、経済的な安定や、毎日、穏やかに暮らせることだけではなく、大事なのは夫が自分に関心を向け続けているということです。
「私の話を聞いてくれない」ことは、「夫が自分に関心を向けていない」ということだと妻は感じるので、「私は満ち足りていない」と、結婚生活に不満をおぼえるのです。
そうした妻の内面を理解できるのが、TSCC(Trauma Symptom Checklist for Children)というトラウマを測る心理テストです。「暗いところが怖い」などの質問に、「ない」「たまにある」「時々ある」「いつもある」のいずれに該当するかを答えてもらうことによって、過去から現在にいたるまでの心の傷の深さが分かります。
名称にチルドレンと入っていることでわかるように、本来は8歳から16歳の子どもを対象としたテストですが、私はカウンセリングにきた夫婦や女性の中で希望される方には、参考のためこのテストを受けてもらうことがあります。その結果から見えるものは大きいからです。
このテストの質問項目の中に、「ひとりぼっちだと感じる」というものがあります。離婚を考えている女性の多くは、この質問に対して「いつもある」と答えます。結婚していて夫はいるのに、いつも孤独感を抱えているわけです。けっして夫が全く家に帰って来ないという訳ではありません。「一緒にすごす時間はあります。でも、いつも孤独なのです」と女性たちはいいます。
その理由が「夫が私に関心をもっていない」ということなのです。人間というのは、独りでいるときの孤独感よりも、誰かと一緒にいる時に感じる孤独の方が圧倒的に強いもの。だから物理的に一緒にいても、夫が自分に関心を向けてくれないと、女性は心理的な孤独感を募らせていきます。
そのうちに「もう一緒にいても意味がない」とか、「これだったら1人の方がよっぽどいい」と、離婚を考えるようになるのです。
カウンセリングにきた男性の中には、
「夫婦ですし、妻に関心がない訳じゃありません」
という方も多いのですが、妻の方に聞くと、
「夫が私に関心を向けてくれているとは感じられません」
と口にします。こうしたすれ違いはとても起こりやすいのですが、その大きな原因となっているのが、繰り返すように「夫に話を聞いてもらえない」ことなのです。