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女性は感情重視

 では、なぜ女性は関心を向けてもらえないことに不満を抱くのでしょうか。

 そこには女性ならではの特性が大きく関係しており、それを示しているのが「ロールシャッハ・テスト」という心理テストの回答です。このテストは、インク・ブロット(インクの染み)という図版が印刷されているカードを使います。その図版が何に見えるか、どう感じたかを答えてもらって、その言葉から深層心理や思考パターンを診断するというものです。

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 ロールシャッハ・テストは10枚の図版を使いますが、黒一色のものもあれば、黒と赤の図版や、複数の色彩が含まれる図版もあります。この複数の色彩の図版にはピンクや緑、ライトブルーなどの明るい色が使われており、それを見たとき、女性の多くは「きれい」「かわいい」といった感想を口にする傾向があります。

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 一方で男性は、「急にカラフルになりましたね」など見たとおりの事実を述べることが多いのです。

 このような色彩図版をみたときの反応は、心の中に感情が浮かんだとき、どのように反応するのかを示しています。つまり、女性は心に何か感情がわきあがるとそれを口にしがちで、男性は感情を口に出さず、事実を述べるということです。

 また、このテストでは最後にいちばん好きな図版といちばん嫌いな図版を選んでもらいます。すると女性の被験者(テストを受けている人)は、赤やオレンジといった暖色系の図版に温かさや柔らかさを感じて、それを選ぶ人が多くいます。その図版が何に見えるか思いつかなくても、「きれいだから」「かわいいから」という理由で選ぶのです。

 つまり、女性は感情で図版を選んでおり、それも暖色系に感じる優しさなどに敏感に反応します。これは女性が「優しくされる」ことを望む傾向が強いことを示しています。

 ところが男性は女性とはまったく違い、「この図版が一番はっきり見えたので」「これはすぐに何か分かったので」といった理由で選ぶ傾向が強いのです。

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 図版は抽象的に描かれていますし、それが何を描いたものだという正解はありません。だから「何か分かった」というのは思いこみにすぎないのですが、男性は自分なりに解答を出そうとします。たとえ色がきれいであっても「何も見えない」、つまりは答えが出ないこと、解決できないことを嫌うのです。これは男性には常に何らかの解決を求める傾向があることを示しています。

 そうした傾向は男性と女性の優劣を示すものではなく、男性は解決重視、女性は感情重視という違いがあることを意味しており、男性と女性の認知や行動に大きく影響しています。それが夫婦仲にも大いに関係してきますので、このことを覚えておいてください。

 ちなみに暖色系の図版に対し、使われている色も考えた上で何らかの形を見いだす力は、自己の感情をコントロールする能力を表しています。先ほども言ったように暖色系の図版を好むのは女性の方が多いのですが、その図版に何らかの形を見いだす力、すなわち感情をコントロールする力に関しては男性の方が高い傾向にあります。