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「あ、古墳だ」大阪の“ナゾの終着駅”「なかもず」&「鳳」には何がある?

2020/09/28
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階段を登って地上に出ると…

 では、そんな可愛らしい鳥の名を頂く駅の周りには何があるのだろうか。階段を登って地上に出てみると……ほんとうに普通の“街”であった。地下鉄のホームのちょうど地上部分には大通りがあり、ひっきりなしにクルマが行き交う。繁華街ではないので人通りが多いわけではないが、周囲にはマンションや商業施設、パチンコ店。とにかくごくごく普通の、街である。

周囲にはマンションやパチンコ屋が見える(筆者撮影)
大通りにはひっきりになしに車が往来(筆者撮影)

かつてはプロ野球の本拠地・中百舌鳥球場があった

 なかもず駅があるのは堺市北区。地下鉄なので気が付かなかったが、いつの間にか大阪市と堺市の市境である大和川を渡り(というか下をくぐり)、御堂筋線は堺市にまで通じているのだ。そして「中百舌鳥」という名を持つ駅はもうひとつ。地下鉄の7番出口を出れば、目の前に立派な駅前広場を持つ駅舎が出迎えてくれる。こちらは南海電鉄高野線の中百舌鳥駅だ。地下鉄は主にひらがなの「なかもず」で案内されているが、この地に駅を開いた歴史は圧倒的に古い大先輩の南海さんは漢字表記を貫く。まあ、地元の人で読めない人はいないのだから、難読といってもさしたる問題はないのだろう。

中百舌鳥球場の跡地にもほど近い南海電鉄の「中百舌鳥」駅(筆者撮影)

 ともあれ、なかもず駅・中百舌鳥駅の周辺は主に住宅地、そしてそれに付随してコンビニなどの商業施設がある、というような街である。強いて言うなら、南海の線路を挟んで南東側にある巨大なマンション群(URの団地などがある)、かつて中百舌鳥球場という野球場があったところだ。

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巨大なマンション群がそびえ立つ駅周辺(筆者撮影)

 この球場、南海鉄道創立50周年を記念して1939年に開場し、南海軍(のちの南海ホークス)の本拠地として黎明期からプロ野球の試合も多く行われている。1950年になるとなんば駅近くに大阪球場が完成して使われなくなったが、それ以降も南海の二軍本拠地として使われていたという。あのノムさんも、不惑のホームラン王・門田博光も、この中百舌鳥で練習していたのだ。

 そんな伝説の球場もすっかり跡形もなく、ならば他に何があるのか。賢明な読者の皆様、とうにお気づきかもしれないが、世界遺産の古墳群である。