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【西武】菊池雄星の2段モーション問題をきっかけに、審判を観察してみよう

文春野球コラム ペナントレース2017

2017/09/07
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東尾修は登板日に審判のスネを蹴っていた?

 審判との雑談でもいろいろ勉強になります。中村稔審判から教えてもらった「テークワンベース」は、目からうろこが落ちました。これは「投球」がベンチやカメラマン席に入り、ボールデッドになった時なのです。よくあるケースの内野手の1塁への悪送球や、外野手からの返球がボールデッドのエリアに入った時は「送球」なので「テークツーベース」になります。これは、その送球時の走者の位置が基準になりますので、打者が内野ゴロを打って送球がボールデッドになった場合、本塁から2つの安全進塁権が与えられ2塁まで、ということです。ルールブックには詳細が書かれていますので、読んでみてください。それと、投手のけん制球がボールデッドゾーンに入ったケース。滅多に起こらないことですが、投手板に触れたままですと「投球扱い」で、投手板を外した場合は「送球扱い」なので、走者の安全進塁権も異なります。

 以前は、担当審判は当日の試合直前にならないと分かりませんでしたが、現在は時計回りのローテーションになりますので連戦の初戦以外は分かります。前日の1塁塁審が当日の球審を務めることになっています。数年前までは反時計回りのローテーションだったのですが、「前の試合で、判定する機会の多い1塁のほうが緊張感を高めて臨める」(友寄正人審判長)との理由から、変更になったようです。東尾修(元西武監督)は現役時代、登板日の球審を確かめるため、審判控室で何気なくスネを蹴っていたそうです。球審はズボンの下にレガースを装着しますので。また、試合前なら「暴力行為」にあたりません。

 監督が選手の士気を高める、という理由で審判に猛烈に抗議するシーンも今や時代遅れの感があります。辻発彦監督も無用の抗議はしません。「いかに審判に気分よくジャッジしてもらえるか。また、感情を害さないことも大事」と。もちろん、判定のミスはあるでしょう。選手もエラーをします。致命的なミスは困りますが、「野球はそういうもの」との寛容の精神も大事です。

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 数十年前、試合前のベンチ裏でサイン色紙を持ちながら選手を待っていた審判もいました。今は、当然ながら許されません。事の良し悪しは別として、昭和はそんな時代だったのです。

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※「文春野球コラム ペナントレース2017」実施中。この企画は、12人の執筆者がひいきの球団を担当し、野球コラムで戦うペナントレースです。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイトhttp://bunshun.jp/articles/4046でHITボタンを押してください。

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