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代官山や自由が丘にはない、石田衣良さんの考える「池袋」の魅力

「池袋ウエストゲートパーク」アニメ化インタビュー

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ドラマでは描くことが難しい現実の犯罪や問題がどう描かれるのか

――今回のアニメでは、原作とは異なる、オリジナルの描写や、設定が変わった部分もありました。アニメ化の際に、絶対に守ってほしい世界観などがあればお聞かせください。

世界観に関しては、特にお願いしていたことはないんです。ただ、アニメ化のお話を最初にいただいた時には、再ドラマ化のほうが先だと思っていたので「アニメからきたんだ」という驚きのほうが大きかったですね。

池袋の凄腕のハッカー・ゼロワン。©石田衣良/文藝春秋/IWGP製作委員会

最近、やっぱりアニメって面白いですよね。僕もよく観ています。アニメの世界ではファンタジーや異世界ものの作品が多いけれど「池袋ウエストゲートパーク」のように、現代の目の前で起きている犯罪――例えば、ドラッグだったり、特殊詐欺だったり――を扱う作品は今まで少なかった。なので、アニメ業界にもいいかもしれない、と。アニメでも、現実の出来事を描いて、目を向けることが必要じゃないかと思うんですよ。

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ドラマとかだと、暴力や倫理コードでできない描写も多いじゃないですか。テレビの限界のようなものが見えてきたときに、アニメはそこを突破していく。

原作開始から20年経った今でも変わらない池袋の街の雰囲気

――アニメの風景は西口公園の「グローバルリング」など、現在の池袋を描いています。再開発事業によって、最近は池袋の街も随分様変わりしていますね。

アニメで描かれる池袋の街並みにも注目だ。©石田衣良/文藝春秋/IWGP製作委員会

そうですね。でも、正直雰囲気はあまり変わっていないかな、と感じています。

目に見える変化では、高層ビルやマンションは少し増えましたね。公園の再開発と、豊島区役所が新しくなったことは目立った変化だとは思うけど……あとは大きいCDショップがなくなったくらいかなあ。チャイナタウンのようなエリアも拡大しましたよね。

『池袋ウエストゲートパーク』を書き始めてから20年経っても「東京の北の玄関口」というイメージは変わらないかな。