上野動物園のジャイアントパンダ(以下パンダ)「香香(シャンシャン)」が、2020年12 月末に返還期限を迎える。コロナ禍で航空便の手配ができずにいる状態とはいえ、いつ返還となるのかパンダファンは気が気ではないはずだ。

 シャンシャンも、新しくできたパンダのもりで暮らせばいいのに……。そんな考えも頭をよぎる。しかし、シャンシャンには、中国へ渡らなければならない理由があるのだ。

パンダはなぜ中国へ帰ってしまうの?

 2017年6月12日に上野動物園で生まれたシャンシャン。飼育職員に向かって突進したり、ゴロゴロ転がるなど、かなり活発な子パンダ。誕生以降、“上野の看板娘”として、ファンの愛情を一身に受けて元気に過ごしてきた。

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シンシンとシャンシャン ©(公財)東京動物園協会

 シャンシャンは日本で生まれたパンダなのに、なぜ中国へ帰らなくてはならないのか。それはパンダが中国からの借り受けでやって来ているから。

 このパンダのシステムについては、テレビなどでもたびたび報じられているので、ご存じの方も多いのではないだろうか。東京都は中国野生動物保護協会と、パンダの繁殖に関して協力協定を結んでいる。2011年にリーリーとシンシンが上野動物園へやって来たのも、この協定に基づいてパンダの繁殖研究を行うためだ。

中国でおこなわれるシャンシャンの「お相手探し」

 この協定ではパンダの所有権は中国にある。海外に貸し出ししているペアに子どもが生まれた場合も、生まれた子どもは中国籍となり、だいたい、生後24か月で中国に返すこととなっている。生後24か月という期限については、同年代のパンダが多い中国の基地で過ごすことが、子パンダ自身にとって良い環境であるということ。そして、お年頃を迎えるパンダの繁殖のお相手を探すためだ。。

 パンダの繁殖適齢期は4〜5歳から。パンダの発情期が年に1度であることなども考えると、現在3歳のシャンシャンの帰国は、お相手探しにちょうどいいタイミングなのかもしれない。