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辻希美が振り返る、バッシングを受けても「母親らしくない」スタイルを貫いた理由

彼女がそこにいる理由——ジェーン・スー

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 結婚から1年半ほど経った2009年1月、辻は仕事復帰と同時にアメーバブログをスタートした。

ネット炎上の歴史が、辻のブログと並走したと言っても過言ではない。料理の写真をアップすれば「ハンバーグは煮込みばかり」「ウインナーの使いどころがおかしい」と言い掛かりをつけられ、子どもについて書けば「育て方が間違っている」と容赦がない。いちゃもんだらけで、もはや大喜利だ。

 辻褄の合わない揚げ足取りには共通点があった。どれも、彼女が母親として非常識だ、不十分だと言いたいものばかり。辻に母親不適格の印を押したくて仕方がない匿名の声をもとにしたネットニュースが、毎日のように配信された。

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バッシングを受けても「母親らしくない」スタイルを貫いた

 市井の人間だとしても、これだけ叩かれたら見た目だけでも日和るのが人だと思うが、辻は世間一般で言うところの「母親らしくない」ギャルママスタイルを貫いた。

「昔からそうなんですよ。自分の中で、髪型がこうとか、メイクがこうっていうのがあると、誰になにを言われても、『こうがいい!』って。ちょっとわがままからの頑固みたいな性格ではあったので。ママだからこれしちゃいけないみたいなコメントもあったりして、えっ、『ママだから』ってなに? おしゃれしちゃいけないの? と。そういうの私は納得できなくて。ちゃんとやることをやっていたらいいじゃんって貫いてきたのかな。いま思えば、確かに……って思うところはありますけど、それがあってのいまなのかなって」

illustrations:Keiko Nasu

 逆風には強いタチなのだろう。2019年に始めたYouTubeでは積極的に日常の様子を配信しており、同世代の子を持つ一般家庭のような飾らない生活が人気だ。冷蔵庫のなかを見せる企画では、辻の炎上の代名詞であるウインナー(使用頻度が高すぎる、使う場所が不適切、など余計なお世話で幾度となく話題になっている)を、こともなげに笑顔で紹介していた。私なら、絶対に隠す。

「ウインナーに関しては、そこまで気にしてなくて(笑)。でも、家族ネタはきつかったです。自分のことを言われる分にはいいんですけど。娘や家族のことを悪く言われるのはきつかった」

 ネットでライフスタイルを発信する彼女には、当然、実生活がある。幼稚園や小学校に子どもが入れば、初対面の保護者の頭には、世間の評判がプリインストールされていたというわけだ。

「多分、いろいろ言われていたし、敵みたいな感じの方はいっぱいいたと思うんです。でもそれ以上に、いいママ友の仲間がいたので、あんまり悩むほどではなかったかなあとは思いますね」

◆ ◆ ◆

 インタビュー後半では、ここ数年の風当たりの変化やYouTubeの動画編集、地に足の着いた子育て方針などについて語っている。続きは、発売中の『週刊文春WOMAN』最新号 2020秋号にて掲載。

つじのぞみ/1987年東京都生まれ。2000年「モーニング娘。第3回追加オーディション」に合格し、デビュー。17歳で卒業。19歳で俳優の杉
浦太陽との結婚を発表。自らの日常を紹介するYouTube「辻ちゃんネル」は、登録者数66.7万人の人気。12歳、9歳、7歳、1歳の4人の子の母。

ジェーン・スー/作詞家・ラジオパーソナリティ・コラムニスト。『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』で講談社エッセイ賞を受賞。
最新刊は『揉まれて、ゆるんで、癒されて 今夜もカネで解決だ』(朝日文庫)。TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」が放送中。

辻希美が振り返る、バッシングを受けても「母親らしくない」スタイルを貫いた理由

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