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「顔と顔を合わせると情が3倍湧く」という台湾のことわざ

岡村 オードリーさんの活躍のおかげですね。日本とは全然ちがう。

(C)Takuya Sugiyama

オードリー 日本のようにまだ市中感染が見られる状況ではイベントを開催するのは厳しいと思います。でも、テクノロジーで解決できることもあると思っていて。台湾は今、国内全域どこでもWi-Fiを無料で使えるので、国民のインターネット環境がもっと充実すれば、バーチャル・リモート・イベントもできるかもしれない。

岡村 新しいカタチのエンタテインメント、ということですか?

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オードリー そうです。「XRスペース」という、誰でも簡単にバーチャルの空間づくりができるようなソフトがあって、それが普及すれば、これまでイベントができなかったような、山や海辺、川辺でも娯楽が生まれるかもしれない。

 台湾には、「顔と顔を合わせると情が3倍湧く」ということわざがあるんです。ただ、マスクをつけたりリモートやオンラインになると、3倍どころか1倍にもならなくて、情がどんどん隔離されてしまう。

 テクノロジーの進化で、どれだけその情を補えるのか、2倍、2.5倍と、もともとの3倍までどう近づけるかという工夫を考えていかなければなりません。

岡村 ちなみにオードリーさんには、コロナの収束のシナリオみたいなものは見えているでしょうか。

オードリー 長い目でみなければと思っています。台湾には、「国家チーム」という概念があるんですね。国民は台湾というチームの一員という考え方ですが、これからは「マスク国家チーム」なのだと言っています。

 国民全員が、いつマスクを外せるのかという考え方を捨て、ニューライフスタイルを、新しい日常を心に刻まなければならないと。これからの私たちはマスクをつけ、生きていくんだという考え方に変わらなければならないということなんです。

(C)Yaeko Kondo

岡村 オードリーさんはさまざまなインタビューで、カナダのソングライターで詩人でもあるレナード・コーエンの歌「Anthem」の一節をよく引用されていますよね。「すべてのものはひび割れている。しかし、そこのひび割れからは光が差すだろう」と。今、光が見えている感じはしますか?

オードリー 今、私に照らされている光は、ノートブックパソコンの画面の光と、机の上にあるライト、という状態です(笑)。