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性別は「無」。IQ180は身長でしょ

岡村 ここからは、オードリーさんご自身のことをいろいろお伺いしたいと思います。まず、子どもの頃のことについて聞かせてください。オードリーさんは、生後8カ月で言葉を話し始め、小学1年生で連立方程式を解き、8歳でコンピューターのプログラミングをマスター、14歳で中学校を中退、アメリカの大学教授たちとインターネットで直接やりとりされるようになった、と聞いています。

 同年代の周りの人たちと理解し合えない、話が合わない、そういった苦悩もあったんじゃないかと想像するのですが、どうでしたか?

(C)Takuya Sugiyama

オードリー 悩むことはなかったですね。IQ180と言われることも、それは身長のことでしょって(笑)。人よりも身長が高いことのほうがIQよりもはっきりしていますから。

岡村 そして、トランスジェンダーでいらっしゃる。20歳のときにホルモン検査を受け、自分は男女の中間にいることがわかったと。ご両親にそれを伝えることに躊躇はあったりしましたか?

オードリー ありませんでした。本当に普通に、今までとは違う性別でもう一度やり直します、と伝えただけです。その頃はもう成人していましたし、男性として生まれ、男性として成人していたわけですけれど、今度はオードリーという女性としての思春期を、これからもう一回経験しますと。

-ー編集部からも質問をしていいでしょうか。ご両親は新聞記者出身で、「男はこうあるべき、女はこうあるべき」という教育をされてこなかったそうですが、そういった影響も大きいでしょうか?

オードリー 親が教えてくれたことは、「右利きになったほうが便利だよ」ということだけで(笑)。小1の頃、私は左利きだったんですが、親が学校の先生から「右手でも書けるようにしてください」と言われたんです。

 当時、左利きに対するイメージがあまりいいものではなかったし、パソコンを含め、あらゆる道具が右利きに向けて作られている。「左利きだけでやっていくと損をするよ」と親にすごく言われたんです。「そうか、私は右手も使わないとダメなんだ」と一生懸命練習して。それに関してはジレンマがすごく強かったので、今でもはっきりと覚えているんです。

 でも、トランスジェンダーであることに関しては、親から何も言われていませんし、普通にサポートしてくれています。そこに関するジレンマはあまりなかった気がしますね。

(C)Takuya Sugiyama

-ーもう一つ。オードリーさんは、女性か男性かのチェックを入れるところにいつも「無」と入れている、と聞いています。それは、性別はない、ということですか? それとも、男女両方持っている、という意味なんでしょうか?

オードリー 前者ですね。性別欄は「無」、何でも「無」です。ジェンダーは男女だけではなく、「両方」も存在しないんです。例えば、台湾には、中国国民党と民主進歩党の二大政党がありますが、政党はそれだけではないんです。台湾維新党、時代力量、そのほかいろんな政党があり選択肢がある。いちばん勢力を持つ2つがすべてではないのです。

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 インタビュー後半では、オードリーさんがリモート会議に感じるロマン、約40年にわたって政治弾圧が続いた「白色テロ」の影響、日本人と「すごく話が合う」と感じる理由などが語られます。続きは発売中の『週刊文春WOMAN 2020秋号』でご覧ください。

オードリー・タン/1981年台北生まれ。両親は元新聞記者。生まれつきの心臓疾患で死と隣り合わせの日々だったが、12歳で手術に成功。IQ180超で、14歳で中学を中退。プログラミング言語「パール6」の開発に大きな役割を果たし、19歳でシリコンバレーで起業。35歳で台湾政府のデジタル担当大臣に就任。

おかむらやすゆき/1965年兵庫県生まれ。音楽家。86年デビュー。4年ぶりの新作アルバム『』が好評発売中。11月23日にNHKラジオ第一で13:05から「岡村靖幸のカモンエブリバディ」第7弾が放送(NHKFMで11月24日18:00から再放送)

text:Izumi Karashima
hair&make-up:Harumi Masuda(Okamura)

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