何の非もなかったヒロイン(鈴木)が孤独オチ
最後はもちろん、唐沢寿明演じる健吾と江口洋介演じる時男に大学時代から惚れられていた、鈴木保奈美演じる貴子について。
大学卒業後、高校教師となっていた貴子と、父の背中を追い代議士になるため秘書として働く健吾は交際中。しかし、健吾は貴子にプロポーズしておきながら、代議士になるためには決められた婚約者と政略結婚しなければいけないと父に説き伏せられ、屈してしまうのだ。
そして、貴子や時男ら仲間たちが集まった場で、健吾は「俺は、政治家になる夢を捨てられない」と宣言し、貴子と結婚できないことを告げる。その健吾の決断を聞いて、無言で目を閉じる貴子……いたたまれない残酷ショーであった。
その後、健吾と別れた貴子に寄り添う時男。長年封じ込めていた気持ちを貴子へぶつけ、二人は付き合うことに。それまでは女のヒモになったり、怪しげなテレクラ業を営んだりしていた時男だったが、貴子との将来を見据えてパチンコ店員として真面目に働くようになった。そのまま貴子と結婚すればよかったのだが……。
10話ラスト、ボート部の仲間であったチョロが自殺した。本作において最大級にショッキングだったこの出来事の後、チョロの母親から、彼が自由奔放に生きる自分に憧れていたということを聞かされた時男。健吾との二人のシーンで「俺は俺でありたい。ずっと俺でいたいんだよ」と語り、突然仲間たちの前から姿を消すのだ。今の自分が、自分らしく生きられていないと感じたのだろう。
半年後、貴子宛に届いた時男からの手紙で、一攫千金を狙ってアルゼンチンでダイヤモンド掘りをしていることが明らかに。そしてその手紙は、「いつか、またいつか会おう。みんなで会おう。変わらぬ仲間として。愛という名のもとに…」という言葉で締められていたのだ。