貴島 例えば、牧(林遣都)にも家族がいるはずで、天空不動産に来る前の人生もあったはずだなと。春田と恋に落ちるとしても、それは初恋ではないかもしれないなと。彼のような人に元カレがいるなら、どんなシチュエーションで付き合ったのだろうと考えていく中で、武川政宗(眞島秀和・牧の元恋人で、天空不動産の社員)というキャラクターが誕生しました。
黒澤に関しても、あれだけ人格者で魅力的な彼が独身とは限らない。愛する奥さんがいて、なのに春田に恋に落ちてしまう…というような状況も実際にあると知人から聞いて、蝶子(大塚寧々・黒澤武蔵の妻)が生まれました。
――新しい世界観を舞台に、キャラクターをより丁寧に描き出した『おっさんずラブ』第1シリーズは大変な人気となりました。新語・流行語大賞をはじめ、第97回「ザテレビジョンドラマアカデミー賞」では最優秀作品賞を含む6冠を達成しています。その勢いそのままに映画化が決定して……。
貴島 初回視聴率は2.9%。成功とは言い難い結果だと思っていました。現場でスタッフもしょんぼりして、座長の田中圭さんに励まして頂いたこともありました。そんなおっさんずチームが、まさか映画という舞台に立たせて頂けるなんて、奇跡だなと。現場はお祭り騒ぎでした。
よく打ち上げで「このメンバーでまた」という言葉が飛び交うのですが、実際にまた同じメンバーで作品をやれる機会は残念ながら少なくて……。多くのファンのみなさまに支えられ、こういった機会を頂けたことは、本当に幸せだと思いました。
今だから明かせる、もう一つの『劇場版 おっさんずラブ』
――第1シリーズ同様に映画のシナリオも「何を描くのか」悩まれたと聞いています。
貴島 そうですね。続きを描くとして、春田が転勤した上海を舞台に描くのか、いっそのことみんなでタイムスリップするとか、色々考えて……。
――タイムスリップ?
貴島 春田がうっかり戦国時代にタイムスリップする設定で(笑)。春田は信長の小姓になるのですが、実は信長は部長で。牧は信長のシェフをしているんです。武川が明智光秀で突然裏切って、最終的には豊臣秀吉ことマロ(金子大地)で天下統一を果たす……みたいな。
――それは大胆な設定ですね! ぜひ見たかったです。
貴島 私も時代劇が好きなので挑戦したい気持ちもありました(笑)。でも、ドラマを応援してくださった視聴者の方々は、純粋にドラマの続きを求めているのでは……というところに立ち戻ったんです。
プロポーズをして結ばれた後、春田と牧はどう過ごしているのか? 恋愛は付き合ってからが本番、2人が新しい壁にぶつりながらも、一緒に乗り越えてゆく物語を作りたいと思いました。
撮影=杉山秀樹/文藝春秋
きじま・さり/1990年生まれ。慶應義塾大学法学部卒。
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