空前の大ヒットで社会現象を巻き起こした『おっさんずラブ』。プロデューサーを務めた貴島彩理さんのふとした疑問から生まれたドラマは、多くの人の心に残る名作となりました。
そんな貴島さんは、実はバラエティ番組の出身。自身が企画した番組も制作するなど、バラエティ制作でも活躍された経験があります。貴島さんの“ドラマ作り”のルーツを探りながら、様々な反響があった『おっさんずラブ -in the sky-』の制作秘話をお聞きしました。(全2回の2回目/#1より続く)
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――『おっさんずラブ-in the sky-』制作秘話をお聞きする前に、貴島さんのルーツをお聞きしたいです。もともとドラマがお好きでドラマ制作を志望されてたんですよね。
貴島 そうですね。学生時代からドラマ好きで、『花より男子』や『のだめカンタービレ』にハマったり、演劇部に入ってみたりして…。
――演劇部?
貴島 その時に“仲間と一緒に1つの物語を作り上げる楽しさ”みたいなものを学ばせて頂いて。大道具建てたり、脚本作ったり、衣装縫ったり、チラシを配ったり。とにかく“物語”に関することが好きだったようで、それで大学も法学部を選んで……。
――物語好きなら文学部を選びそうなものですけど。
貴島 法学部だと裁判事例を学んだりするのですが、事件や争いごとにはドラマが存在するというか。刑事ドラマや弁護士ドラマを見ている感覚になることもあって、どこか物語性を感じたのだと思います。
――なるほど。たしかに言われてみればドラマ性がありますね。ちなみにテレビ局はどこが第一志望だったんですか?
貴島 フジテレビです(笑)。あとは、自分史上最高ドラマが『新選組!』(2004年・NHK)なので、NHKにも憧れていました。三谷幸喜さんの脚本も大好きですし、出演者の皆さんが今でも忘年会をしているというニュースをみて、素敵だなと。その“チーム感”みたいなものにも憧れました。
ドラマ志望なのに「バラエティに残りたい」と泣いた日
――そしてドラマ制作志望でテレ朝に入社して……。ただ最初に配属されたのが、バラエティ番組だったと聞きました。
貴島 新人研修では『アメトーーク!』でAD体験をして、最初の配属はタカアンドトシさんがMCをされている『お試しかっ!』でした。
――バラエティ番組の制作現場はとても過酷と聞きますけど、入社早々に配属されてどうでした?