貴島 連続ドラマシーズン1を終えたあとに、映画とシーズン2に臨む心意気を確かめる、というような話し合いでした。シリーズ化させて頂けることへの感謝も含め、春田と牧のプロポーズというラストを超える新作はどういうものなのかと。
――これも色々な設定を考えて?
貴島 そうですね。教師と生徒と校長の禁断の恋を描く『おっさんずラブ-in the school-』とか、『-in the sea-』『-in the zoo-』もあったかな……。
――『おっさんずラブ-in the school-』(笑)。面白そうです。
貴島 さまざまなアイデアを話し合ううちに「航空業界」を舞台にするのはどうか、という話になりました。『GOOD LUCK!!』のようなドラマへ憧れもありましたし、当時「CAという職業は“女性のもの”という概念はなくなってきた」というネットニュースも見て、おっさんずラブの舞台として選ぶのに親和性が高いかもしれない、と思ったんです。
ただ、シーズン1と変わらず「土曜ナイトドラマ」という枠での放送ということで、予算には限りがある。『GOOD LUCK!!』みたいに飛行機や飛行場での撮影はできないという現実問題にぶつかってしまい……。『おっさんずラブ-in the sky-』はいっそ“空を飛ばない航空ドラマ”にしようと、その方が我々らしいじゃないか、と一致団結しました(笑)。また、撮影にご協力いただいたPeach Aviationさんの職場を見学させていただいた時、CAさんのお仕事は“地上でのお仕事”が想像以上に多いのだということを学び、いつもお客様に見えていない姿もドラマで描けたらと思いました。
シノさんが最終話付近で「ちょっと天然で残念」になった理由
――この第2弾連続ドラマは、第1弾の“パラレルワールド”という設定でした。様々な反響がありましたが、ほかに意識して作られた部分はありますか?
貴島 『熱中時代』(1978-1981年)、『教師びんびん物語』(1988年-2001年)シリーズのように、姿形は一緒でもまったく新しい春田として生きられるように、何度も田中圭さんとご相談して擦り合わせていきました。
シーズン1の春田は恋に受け身、でもシーズン2の春田は自ら動く男にしたいと。田中圭さんも“芝居に嘘をつかない”という信念のある方なので「この展開だとキスするのは難しい」という心情の相談などを、監督含め何度も話し合って進めていった記憶があります。
――第1シリーズの作り方もそうですが、キャラクターを丁寧に描き出そうとする意志が強く感じられます。