貴島 過酷でした。最初は「帰れま10」を担当していたのですが、本当に帰れなくて……(笑)。“本物の水泳選手は誰だ”という企画で僧侶とホストと水泳選手と毎日プールに通ったこともありました。
とにかく怒られる毎日で、お弁当を発注したらAPさんには「茶色すぎる!」と怒られ、野菜多めにしてみたら技術さんに「肉が少ない!」と怒られたり。ラーメンのインサートを撮るために、箸で麺を持ち上げるのもADの仕事なのですが「全然美味しそうに見えないだろ!」って怒鳴られたり……。今では良い思い出です。
最後の方はバラエティ制作が楽しくなりすぎて、いつか自分の番組を持ってチーフディレクターになりたいと本気で思っていました。
――バラエティ番組の企画も出されていたんですね。
貴島 『仕返さナイト』というバラエティ企画を提出して、単発で5回くらい放送させてもらいました。『日曜芸人』という番組でADをしていた時にお世話になった、バカリズムさんとザキヤマさんにMCをお願いして。でもなかなか視聴率がとれなくて、次の企画でリベンジしてやる! と息巻いているときにドラマ部に異動になってしまって……。
――でも希望通りの人事ですよね?
貴島 そうです(笑)。でも、いつのまにか好きな場所になっていて「残りたい……」とうっかり泣いたりして。上司から「あんなにドラマ部に行きたがってたのに、どうした!」と笑われた覚えがあります。
ただそんな風に思った理由の1つは、就職活動中にテレビ朝日の説明会で聞いた、加地倫三さん(『アメトーーク!』『ロンドンハーツ』総合演出)の言葉がカッコ良くてしびれてしまった……ということもあったのかなと思います。
――どんな言葉ですか?
貴島 「俺は自分の番組に出てくれた出演者を絶対に損させないと決めているんだ」と、その言葉にズキュンと胸打たれまして。いつか自分がドラマを作るなら、視聴者だけではなくて、出演してくれるキャストやスタッフも幸せにするプロデューサーになれたらいいなと思いました。
「春田と牧のプロポーズ」というラストを超えるために
――そこからドラマに異動されて『おっさんずラブ』が誕生します。話は戻りますが、第1弾の連ドラ、映画ときて、今度は第2弾の連ドラ『おっさんずラブ-in the sky-』の制作が決定します。
貴島 映画とシーズン2の連続ドラマの制作は、同時に決まりました。嬉しい気持ちと同時に、もちろんプレッシャーもありました。
――田中圭さんとも色々相談されたそうですね。