キャリアが長い別の指定暴力団幹部が語る。
「竹内組は、長野県では勢力が大きく業界では名が知られていた。その竹内組が6代目(山口組)に移るということになったら絆会としては格好がつかない。譲れないことだっただろう。絆会が解散するという話は前から出回っていたが、今回は竹内組が少し先走って移籍を打診して、そうした話を進めてしまったのだろう」
その上で、神戸山口組の内部事情を指摘する。
「絆会は実際に解散の方向だったはずだが、急に組織継続ということになった。これは神戸山口組から、有力組織の池田組が離脱したことで、池田組と絆会が同一行動することになったのが大きい。それで方向転換となった。竹内組としては、周囲の状況が大きく変わり、6代目側と絆会の板挟みとなってしまい、苦しかっただろう」(同前)
「ヤクザの『親子の盃』の不条理」
前出の山口組の事情に詳しい指定暴力団幹部が業界の事情を語る。
「そもそも『親分の盃』をもらった段階で、どんなことでも親分に従う不条理を抱えているのがヤクザ。親分の不条理でどうしても納得できなければ意見を述べるべき。それで受け入れられなければ、辞めるしかない。今回は絆会を解散するという話は聞こえてきても、実際に解散するまでは竹内組は織田の下にいる訳だから、(移籍の打診などで)動くべきではなかった」
さらに問題をこじらせた一件があるという。それは宮下が竹内組の看板を持ったまま6代目山口組側に移籍しようとしたことだと同幹部は説明する。
「移籍するにあたり、竹内組の看板を下ろすべきだった。絆会の解散を待ってフリーになったところで、その後に宮下組などを名乗って移籍すれば問題は大きくならなかった。とはいえ今回の銃撃事件で、(身内を狙った)絆会側も『拳銃を向ける方向を間違っているのではないか』と思う」
山口組が分裂して以降、神戸山口組、絆会と現在は3組織に分裂した状態となった。しかし、神戸山口組では中核組織の離脱、最高幹部の引退など縮小傾向にある。絆会も今回の事件で組織は混乱を免れない。絆会の織田もかつて狙われて、ボディーガードが射殺された事件も発生している。
今回の銃撃事件を起こした金澤は、いまだに拳銃を所持したまま逃走しており、さらなる事件の発生が危惧される。警察当局はさらに監視の目を強めている。
(文中敬称略)