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大物アスリート・瀬戸大也「お迎え前」不倫、鈴木凉美が考える“ツッコミづらい”理由

2020/10/11
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 どこでどんな不倫をしたか、にあらわれる面白みは、報道のテンションや大きさを変える。多目的トイレで不倫したグルメ芸人や、車内でスピード逢瀬を繰り返した二枚目俳優など、そこに焦点が当たる人は、本人にどのような罰が降るかに差こそあれ、人の噂話や識者のコメントの中で比較的明るいテンションで揶揄されたり、本人に直接的なツッコミがいったりする中で、罪の重さが無害化していきやすい。

 ゴシップが売り物になる仕事をしている者が、秘密の私生活にも多少の人生を演じる意識を持てばその内容が退屈にはならないし、ゴシップを売る報道機関の側も、そのゴシップが悪人を決めつけるものではなく、消費されて楽しまれるものであるという意識があれば、その面白みは強調される。双方のセンスが光れば、散々消費されても本人が人生を失うほどの何かをなくすことはないはずなのだ。

“多目的トイレ不倫”で活動自粛中のアンジャッシュ・渡部建 ©文藝春秋

センスが光っていた近年の“ベスト不倫”は……

 さて近年の不倫報道で、面白さが光っていたのは昨年、二回も不倫が報道された千原せいじだろうか。「誰が」という点では、やや粗野な印象の芸人という意味で何の意外性もない。コンビニ前でアイスにかぶりつく間抜けな姿を激写されるその内容も別に面白くない。

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 面白みが光ったのは妻をカレーライスに、愛人をハヤシライスに例えた微妙な言い訳もさることながら、一度目は浜崎あゆみ似と報じられたド派手な名古屋ギャル、二度目は40代の元セクシー女優という、「誰と」不倫したか、の一点だろう。

“ハヤシライス不倫”が報じられた千原せいじ ©文藝春秋

 男性芸能人の不倫報道には当然、女性視聴者の批判的な意見が多く寄せられるが、「誰と」の部分で女性を完全に敵に回すか、苦笑を引き出す程度なのかは分かれがちだ。それは単なる野次馬精神にのみ訴えかけるものではない。視聴者もそこまで単純なわけではなく、相手選びのセンスに、一筋の思いやりを見るのである。

 長く素行不良なおじさまたちに、愛人や不倫相手選びについて聞くと、口が硬いとか結婚したがらないとか、そういった基本的なことの他に、もし明るみに出た時に、本妻のプライドを根こそぎ奪うような相手を選ばない、という規律を聞くことがある。

 どんな浮気だって人を傷つける。美人と浮気されて劣等感に苛まれることもあれば、ブスと浮気されて自尊心が傷つくこともある。しかし、正直なところ、誰と浮気されるかどうかによって傷の数値レベルはだいぶ変わる。

 そして人の性格に凹凸があるように、そして人のプライドとコンプレックスの置き所が千差万別であるように、誰と浮気されると一番傷つくか、というのは人によって違う。